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☆リアと愉快な家族たち ◇ペガサス編

私は聖獣ペガサス。 主を聖獣達の血を引く者達の元へ連れて来て約4年、主は9歳になりました。 新家族のおかげで、最近では少しずつ言葉も話すようになりましたし、連れて来た当時は小枝の様に細く頼りなかった手足にも薄っすらと肉が付き、カサカサだった頬も今は愛らしいバラ色になりました。 プラチナブロンドはキラキラと輝き、主を象徴する紫の宝石の様な瞳との相乗効果で、その愛らしさと美しさは幻獣界に連れ帰って自慢して回りたい程です。 幻獣界とは私達聖獣や精霊達が住む、人間界とは次元の違う異世界の事です。 通常、人間界と幻獣界を繋ぐ扉は固く閉ざされており、まず開かれる事はないのですが、私と主が出会ったあの日、人間界に住む精霊達が主を救う為に命を懸けてその扉を開き、幻獣界に助けを求めました。 運命の子である主の事は、幻獣界の者達もとても気にかけており、人間達の主に対する仕打ちに何度人間界へ攻め込む話が持ち上がった事か…そんな訳もあり、皆が我先にと扉へ向かいました。 もちろん私もその中の一人で、自慢のスピードで同胞たちを蹴散らし、何とか1番に扉をくぐる事が出来ました。 たまたまその日は幻獣界全体の会議が開かれていたため、力の強い長達が居なかった事も私に味方しました。 しかしユグ濃度の薄い人間界の精霊達では、上位聖獣である私を完全な姿で呼ぶことは出来なかったようで、人間界に降りた私の姿はあいまいなものでした。 これでは主を助ける事が出来ません。 そこで私は何の躊躇いもなく、主をマスターに召喚獣となる事を決めたのです。 そうして今は幼い主の為、仔馬程度の大きさに擬態しています。 何故なら、…これは人間達は知らない事なのですが、人間界へ召喚された聖獣や精霊がユグ濃度の薄い人間界に留まる為には、自然と召喚主から足りない分のユグを貰って補う形になります。 完全体の私を人間界で維持するには相当なユグが必要となり、幼い主が成長に必要なユグまでも奪ってしまう事を防ぐ為に必要な擬態なのです。 それに、擬態して小さくなったことにより、主との距離が近くなった事は嬉しい誤算でした。 私の首に抱き着いて頭をぐりぐりして甘える主を優しく羽で包んだり、夜は子供部屋の2段ベッドに一緒に入り、お話してとおねだりする可愛い主を見る事が出来るのですから! さて、今日はどんなお話をしましょうか。 そしてお話が終わった後は、私の柔らかい羽毛に小さな顔をうずめて眠る主の、愛らしい寝顔を一晩中堪能するのです。 何しろ上位聖獣たる私には、眠りはほとんど必要ではありませんからねっ! …これからも主と共に。 END

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