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第26話
二度目なので、さすがに要領はわかった。前回と同じく部屋の番号を呼び出して、フロアへと上がる。以前と違うのは、ウェイティングルームを素通りして、直接部屋へと案内されたことだ。スタッフの女性が部屋を出ていきひとりになると、希は素早くシャワーを浴びた。必要性は理解できるが、紺色の紙パンツだけはどうしても慣れなかった。覚悟を決め紙パンツを穿くと、希は施術台に横たわった。
ノックがして、奎吾が部屋に入ってくる。予約の時点で希がくることはわかっていたのだろう。その表情に驚きは見られなかった。
「柏木さま。その後体調はいかがですか? 具合が悪くなるようなことはございませんでしたか?」
「あ、はいっ。大丈夫でした」
接客モードの奎吾に合わせて希が返事をすると、「失礼いたします」という言葉とともに、奎吾の手が希の身体に触れた。ふわりとよい薫りがして、希の身体からふっと力が抜ける。オイルで濡れた奎吾の指が身体を滑るたびに、希はおかしな声が出そうになってしまった。奎吾の技術が並外れて高いことは、こういうことに詳しくない希にでさえわかった。これだけの技術だ。身につけるまでにはどれほどの努力が必要だったのだろう。
「・・・・・・あんたのマッサージさ、みんなが受けたいって思うのわかるよ。本当にめちゃくちゃ気持ちがいいもんな」
「え」
希の言葉に、身体に触れていた奎吾の指がかすかに戸惑ったのがわかった。ぶれた指先が身体の側面、ちょうど胸の横の柔らかい部分をかすって、希は「ひぁっ」と声を上げた。
「失礼いたしました!」
慌てて謝る奎吾に、希は「や、大丈夫だから!」と答えたが、鼓動はどくどくと鳴っていた。
やばい、いまの刺激でちょっと反応してしまった・・・・・・。
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