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第40話

 くすくすと笑おうとした希の口は、再び奎吾のキスによって塞がれる。奎吾の手は希の乳輪を確かめるように撫でると、ふいにその爪の先でカリッと乳首を引っかかれた。 「ひぁんっ!」  希はびくりと身体を震わせた。 「・・・・・・柏木」  耳元で、これまで聞いたこともないような、切ない声で名前を呼ばれる。 「・・・・・・希」  何、お前どうしたの? という希の言葉は声にならなかった。そのとき、ぞくぞくっと肌が粟立つような快感が腰のあたりを走った。 「あ・・・・・・っ」  イっちゃった・・・・・・。  じわっと濡れるような感覚がしたとたん、猛烈な眠気が希を襲う。 「おい、この状況で寝るってまじかよ。冗談だろ、柏木・・・・・・っ!」  焦ったような奎吾の声とともに、希は意識を失った。  コポコポと液体の落ちる小さな音が聞こえる。鼻の先をふわりとコーヒーの芳ばしい匂いがかすめた。どうやら昨夜はソファでそのまま眠ってしまったらしい。ゆっくりと目蓋を開き、次の瞬間希は「うおっ!」と叫んだ。 「起きたか」  朝食の準備をしていたらしい奎吾がキッチンから顔を出す。希はぎょっとしたように目を見開いた。 「う、うんっ!」  焦って起き上がった拍子に、ソファから転がり落ちてしまう。 「ぎゃ!」 「大丈夫か?」  奎吾がキッチンから希のいるほうへやってくるのを、希は真っ赤になって止めた。 「だ、大丈夫だから! ほら、朝食作ってたんだろ! 俺もうお腹ぺこぺこ! あ~お腹空いたなあ!」  奎吾は不審そうな顔をするも、素直にキッチンへと戻った。それを見届けた希は「俺、ちょっと・・・・・・」と前を押さえながらトイレへと駆け込んだ。そうして汚れたパンツの中身を確かめると、まじかーと心の中で叫んだ。ティッシュでできる限りの汚れは取るが、乾いてこびりついたものはどうしようもできない。 「これ、どうしろっつーんだよ・・・・・・」

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