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 † 「いらっしゃいいらっしゃい、世にも珍しいオメガだよ! 価格はなんと十デュカートだ。どうだい? 安いよ安いよー!!」  一陣の砂塵が舞う。  スラム街と化したそこは、闇の市場として道徳に反する行商人達がごった返していた。  納屋のような一角のそこに一人の少年がいた。  名はウェリー。  年は十七になる。  ーーにもかかわらず、体は痩せ細り、身長は百六十センチと年頃よりもずっと幼く見える。  その理由は少年の生い立ちにあった。  ウェリーが五歳の頃ーー。  大火事で両親を亡くして以来、里親に引き取られた先で虐げられ、さらには思春期を迎え、オメガの性が判明すると、人買いに売られてしまった。  だからウェリーの服装はそれはそれは悲惨なものだった。

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