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ⅡⅩ
「じゃあ、ぼくを買った時、『奴隷にすぎない』と言ったのは?」
「知っての通り、ぼくには人食いの噂がある。君に優しく接する自信がなかった」
「そんなことはありません! 貴方はいつだって優しい! だから、飽きたら捨ててください」
捨てられるところを想像しただけで息が詰まる。
ウェリーは呼吸ができなくなった。
「勝手な想像で自分を苦しめるのはやめなさい。ぼくの母性を引き出す君は十分魅力的だ」
「だったらどうしてぼくを抱いてくれないんですか?」
「君はぼくがどれほど欲深いか知らない。体力が回復してから嫌と言うほど抱こうと思っていたんだがーーもう止めよう。今夜はぼくの子供を孕むまで抱くから覚悟しなさい」
反論しようとしたウェリーの唇は、しかしそれ以降は何も紡げない。
薄い唇がウェリーの口を塞いだからだ。
ウェリーの口から漏れるのは、それから間もなくしてからのことだ。
やがてそれは艶やかな嬌声となる。
そしてウェリーの心を満たすのだった。
-Fin-
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