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~プロローグ~

―気が付くと、俺は気を失っている優紀を抱いて走っていた。 着の身、着のまま。 (…逃げないと) 優紀に至っては、毛布を身体に巻き付けただけの状態で。 (早く) だが、そんな事に構ってはいられない。 今が夜中で人通りが少ないのが唯一の救い。 なるべく遠くへ。 追っ手のかからない場所へ。 見付ける事のできない場所へ。 必死で走りながら、逃げる事のできる場所を考えていた。 …でも、いくら考えてもそんな場所なんて…結局、一ヶ所しか思い浮かばなくて……………。

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