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「勘太、身体を拭いてこれに着替えて。その間に夕餉の支度をしておくからさ」  いつ勘太が来てもいように用意しておいた浴衣と手拭いを渡す。 「もしかして、与六が縫ってくれたのか?」 「古着を仕立て直しただけだから」 「それでも、ありがとうよ」  嬉しそうな表情を見せ、受け取ってくれる。それを見ることができてよかった。  急いでご飯と汁物の用意をする。後は近所で貰ったお漬物とめざしを焼けばいいだろう。  暫くするとさっぱりとした勘太が火照って流れる汗を拭きながら部屋にはいってくる。 「ふぃ、気持ち良かったぜ」  熱を冷ますように開いた前衿から、男らしい鍛えられた肌がみえる。  つい、そこに目がいってしまい、ばれぬうちに視線を外した。 「ご飯、もう少し待って。お酒は準備できてる」 「お、ありがてぇ。ご相伴にあがるかね」  焼きたてのめざしと漬物を肴に酒を飲み始める。 「あぁ、うめぇ」  とお猪口を掲げる。 「なんだ、飲んでいなかったのかい?」 「まぁな。仕事中は白湯しか飲まねぇのよ」  それはまた、酒好きの勘太がそれで過ごせたものだ。しかも、その反動なのか酒の減りがやたらと早い。  もうひと瓶買っておくべきだったかと立ちあがる。 「酒を買ってくるよ」 「いいよ、これで十分。それよりも、な」  腕を掴まれて引き寄せられる。久しぶりに感じる熱だ。 「食欲が満たされたら、今度は性欲かい?」  けして二人は甘い関係ではないのだが、身体が疼く程に勘太を欲している。 「あぁ、久しぶりに会うお前さんに煽られた」  激しく襲う欲情だらけの男を止める術など与六にはい。 「わかったよ。布団を敷くから」  と用意するや否や、布団の上に組みしかれて、前衿を掴んで開きその唇に食らいつた。 「まて、そんなにガッツくなって」  と、欲のまま襲いかかる勘太を止めようとする与六の言葉に、聞く耳を持ってはくれなかった。 「んッ……!」  ちょっと待ってくれと、そう言おうとした与六だったが、その言葉にふたをするような、そんな口づけをくらい、割りこんできた舌が与六の舌に絡みつき卑猥な音を立てm喉の奥から甘い声がもれはじめて熱い息を吐く。  糸を引きあう舌が離れ、すっかり息の上がった与六はとろんとした目で勘太を見つめれば、欲をみなぎらせた視線が絡みつく。 「あぁッ」  下半身が疼き、じわっと体が熱くなる。  ほんのりと色付き始めた肌を、味わうように舌が肌をたどり、鬱血する程唇で吸いあげられる。

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