10 / 10
目隠し04。
真夜中の侵入者を知らせたのは、ゆったりとした足音だった。完全にわざとである。ちなみに。彼は気配を殺すのはお手の物です。しかし、これは愉しいイベントなので遊び心は必要だと考えて、あえて普通の人並みに気配復活中なのであった。
速乾Tシャツとパンツのみで寝息を立てている獲物を見下ろす。ああ、ホントに、ここで目が覚めたら最高なんだけどなぁ。照れたり羞恥心で頬を染めたりのリアクションが最高にかわいいからね。この子は。
枕に散る短く整えられた柔らかな髪の毛を梳いて、緩く引っ張っていたずらすれば、しっかり反応がかえってくるのが嬉しい。少し寄った眉間の谷間に沿うように指先でするする撫でる。愉しいなぁ。でもね、これからが本番なんだよ?
手早く全裸に剥き剥きすると少し肌寒くなったのか、小柄な身体がもぞもぞする。おやっと期待でワクワク見守っていると横向きにまるまって、むにゅっと不満そうに唸り、薄い敷物を手のひらがタップする。お目覚めかな?しかし、今回もクークーと安らかな寝息だけが聞こえてきた。残念。一度寝たら起きないんだよな。誰の体質を受け継いだのかね?想像してちょっと笑ってしまう。まぁ、清春では絶対ないな。
さて、はじめますか。と肩先に口づけしてから、ゆっくりと身体を起こし、奈落噺室生は部屋を行ったり来たり右に左に動き回って、これから成される呪術の下準備に入る。灯りが完全に落とされている暗がりでも問題ないのだけれど、外廊下との境を区切る襖を全て開け放ち、そこから月明かりを室内に呼び込むことにする。理由?術の完成度を上げる要素のひとつになるからだ。満月だしね。それを意識している術者が何人いるかは知らないけど、取り込まれた月灯りに浮かび上がる部屋の様子は、身内が見ればその完成度の高さや熟練度に見入って恐怖するレベル。術式に晒される供物を思って微笑むくらいは許されるだろう。
夏の熱気が何かに遮断されたのか、呼吸する口はひんやりとした空気と混じり合う。
もうこの部屋は現世ではない。高御座にあって微睡中の、奈落噺の主神の干渉から目隠しされた箱庭だ。唯一干渉できるのは、裏口 保持者だけである。
その長身の肩から浴衣がするりと畳に落ちて、月灯りの下に全裸を晒す。着痩せするタイプで、少し動くと背中のみっちりとした筋肉が隆起した。
「ガミガミ煩い。これは俺の領分だと話し合ったはずだが忘れたのか」
チラリと視線を自身の真っ黒の影に向けて、一切の感情を廃した平坦な声で呟く。反応を確認するように視線をあてたままでいると、ふつふつと凹凸に伸び縮みしはじめ、みるみる闇が凝縮、気味の悪い粘土細工のような動きをして分離する。
質感のあるそれが部屋の暗がりに向かいコロコロと転がっていくのをふーとため息をついて眺める。残念なことに、これとは意思の疎通が完璧にできた。動く影くらいなら鬱陶しいで済むのに、こちらを苛立たせるレベルで騒いで自己主張が激しい。真剣に出禁にしてやろうかと思う。まぁやったらやったで、力押しで対抗してくるだろうけど。派手に屋敷の一部でも破壊されたら日には、流石に本家の関心を引いてしまうのは想像に難くない。自重しよう。おい、とぼけた振りをするなよ。おまえもだぞ!
「サポートはいらないし、むしろ邪魔なので、消えてくれないかな?……はぁ、まだ仕事の途中なのだろう?こちらに意識を割く余裕があるのか?処理速度が下がる分だけ帰宅が遅れるぞ」
闇からは嫌な匂いがした。執着や嫉妬。独占欲。全部が彼に対する悪感情ばかり。ぴたりと形が決まったのか、影絵のようでいて、でもやたらと立体感があって、動きは小型犬のそれ。自身の身体を確認するように、紙の厚みしかない頭部を折り曲げでクンクンと匂いを嗅ぐ仕草をしていたが、しどけない寝姿を晒す供物に触れようと室生が屈んだ瞬間に、不自然に頭部だけが数倍の長さで伸びあがり飲み込もうと襲ってきた。それを指二本で止めて撥ね付ける。
「正直、自分の立場に立って考えると気持ちがわからなくもないけど、邪魔ばかりしてると手遅れになるってわかってる?この子が俺たちの手の届かないところに連れて行かれてもいいのか?」
この男もそこまで愚鈍ではない。独占欲MAXでぴょんぴょん縦に飛び跳ねて苛立ちを表現していたのがピタリと停止し、わかりやすくシュンと肩を落として引き下がったのが、その証拠。それでも目の端では鋭い歯列がギシギシさせていたが。許容範囲内の抵抗なので当然無視。
「見るのが辛いなら来なければいいのに」
気に障ったのだろう。返答は野良猫のシャーッシャーッ。相変わらず表現が多彩だなとちょっと感心しつつ、時間も押していることですし、彼らの大事な眠り姫の、手に吸い付くような柔らかい肌に手を伸ばす。迷わずに一番に目を引くモノ、ぷっくりと主張するそれを摘む。少しきつめに擦り合わせるのは、この育てる感触が愉しいからで。月灯りの光量では、いまいちわかりずらいけれど、このかわいい乳首がベビーピンクなのをお兄さんは知っています。
「斑くん。美味しいよ」
斑くんらしさ溢れる控えめなぽっちを口に含んでたっぷりの唾液を絡ませてクチュクチュしながら、聞こえないとは思うが感想は伝える。次回こそは意識ある時にしようね。ここからやっと精液も出るようになったし、そろそろ兄さんとイチャイチャは解禁してもいいだろうか。斑くんはちょっと痛いのが気持ちいいんだよね。兄さんはそれも、しっかりじっくり知っています。
だから歯の間に挟んだ媚肉にギニギニと痕が残るくらいに力を込めてあげれば、予想通りに斑くんは背中をきれいに反らせハフハフ甘い息を吐き出した。
両方の乳首はかわいくピンと勃起し、長年の調教の成果で無垢な身体が何やら、やたらと卑猥でエロい仕様に。こんな据え膳が目の前にデンっと置かれてしまうと、どんなに禁欲を貫いていても、ぐらついた言い訳にはなると思う。
ちらりと清春の感情を乗せた影を視ると、怒ってる怒ってる。
同学年の中でも小さいことを気にしているらしいのは知っているけど、たぶんきみの成長期は全く期待できない。ショックを受けるだろうから伝えることはないけれど、そのかわりに大事な成長に必要な余剰エネルギーは全振りで斑くんの生命力を保持しているからね。兄さんたちも悩ましいけど……迷わずに、成長期と生命力を天秤に掛けるなら斑くんの生命力一択なので、ここは諦めて貰うしかない。
手の中に納めた『お子様ちんぽ』と表現できそうな男性器もしっかり確認。とてもとても初々しくて、よろしい。これは産毛かな?の薄っすい恥毛も指先でシャワっと触ってみたりと、愉しく確認作業に追われていると、うろうろと落ち着きのなく部屋をうろついていたご意見番から先に進めろとクレーム。
しまったしまった。時間もないのに。この子を前にすると夢中になってしまう。こういう時は清春という変な横槍に感謝だ。
「そうだ清春。今日、斑くんからの相談 があってねぇ、学校の誰の入れ知恵かは知らないけど、ウチでお泊まり会したいそうだ。化け物屋敷でなんて勇気があるので許可したから。きみは、くれぐれも行儀良く邪魔なんかしないように」
当日は絶対に小姑よろしく覗き見するだろうからと釘を刺して、斑くんの薄くて形の良い小さな唇を塞いで組み敷いた身体にゆっくりと呪を流す。暗がりにあって神秘的に仄白く浮かび上がる肌の上の呪言は、前回刻んだときからある程度期間が経っているにはしても、こちらの想定以上に薄くなっている。理由として思いつくのは斑くんの側をちょろちょろしている力ある存在だ。奈落噺の大神から隠すには文句なしの力ではあるが、後々のことを思うと、それだけで済むわけがないので全面的に守護者として委ねずの、今のところは防波堤扱いと守護者の微妙な半分半分で落ち着いている。それに相手に関しては斑くんも懐いているから引き剥がすのには、それなりの理由もいるしなので。
浮かんだ呪いに手を伸ばして、慎重に奥を探っていく。斑くんの能力の成長具合との相性とかも気になるところだ。ふむふむ。これなら視え過ぎる斑くんが不調になるのも頷ける。
奈落噺の大神には存在を気付かれただろうが、まだまだ渡す気はないので全力で斑くんに墨付けだ。これだけでも十分に未発達の身体には負担になるのはわかっている。でもここからが本番。きっちり丁寧に奈落噺室生の全力を持って、きみに呪いを刻もう。
寝息を立てる唇に舌先を這わせてなぞると、斑くんは従順にも口を開いた。お利口さん。兄さんの思うままに動ける斑くんはいい子だね。中学生の男の子にしてはありえないような華奢な肩を撫でながら。目をパタリと閉じる。瞼の裏側に月明かりと斑くんだけを感じながら、深く深く意識を沈ませる。清春と違ってほぼ休眠状態だった自分の呪力を閉じ込めたミュージックボックスを手探り。精神世界における呪物創造のコツは細部までも正確に、そして思い出深いモノほどいい。
あれは小学校2年生の斑くんの夏休みの宿題で提出した工作で。尚且つお手伝いしたミュージックボックスは素朴にして大変かわいらしい。後日、展示が終了して学校から返却された時には、もじもじしながらプレゼントしてくれたものだから、小さなキズひとつまではっきり覚えている。奈落噺室生の大事な大事なお宝のひとつであるのは間違いない。ああ、これだね。と手の中に収めたそれ。現物の寸分違わず。まーくんからの愛情に頬が緩む。
横にあるツマミを回すことをせずに木蓋をパカリと開く。もちろん単音のシンプルなメロディーは聞こえない。ただ空っぽの小物入れ。手の中に転がして爪先で弾く。躊躇ってしまうのは、解放するイメージを頭の中で創り出して実行するのは簡単で、でも元にもう一度閉じ込める時に嫌がるのがわかるから、自分の力なのにそれらを説得するのが億劫なのだ。また来 よりと去 よりに手伝ってもらうことになるかも。……いや、ひょっとすると今なら、斑くんの方が効率的かも?
溜め込んだ力が動き出したのは直ぐ。効率よくは当然として、過不足なく完璧に。感を取り戻すのは意外と簡単で、違和感はない。絶対にないとは言えない拒絶反応には注意して、呪力をチョロチョロ流し入れ、それが大事な子を確実に刻む背徳感。異能がこちらの形 に特化していてよかったと本当に思う。清春が歯軋りしているが、そこは特性として諦めて貰うしかない。
完全に同調を果たし、ふたり分の呪力のコントロールで全身が熱を帯びて、しっとりと肌に汗が滲む。自分の呪力で全身が染まりはじめた斑くんは、目に毒というか、俺の物感が半端ない。己と命を分け合う犬神たちも、いつの間にか部屋に入ってきて、ご馳走を前に大歓喜で、しっぽをビュンビュン振り回している。同意見?はいはい。
口を塞いで舐め回す舌にはじめは翻弄されまくっていた斑くんも、今では細腰を捩らせ室生の舌にチュウチュウ吸い付いてメロメロである。先程から、かわいい小さなおちんちんから涎を溢して兄の硬い腹筋に擦り付けているしで。もったいないなぁ。全部舐めとってあげたいとか思っていたら、ふたりのお腹の間に見た目だけはコロコロした子犬風に擬態した、犬神来 よりが割り込んできて、斑くんの蜜にむしゃぶりついた。もちろん普通の犬ではないので尖らせた舌先はするすると自由自在に伸び縮み。太さも調整できるので調教道具としては大変便利で優秀。
組み敷く身体から唐突に熱が上がり汗ばむのを感じて。疑惑の視線は当然、子犬の口の中にすっぽり収まったおちんちん。
「来より?どこまで挿れるつもりだ?わかっているとは思うが、まーくんは初心者だからな?」
猛烈に尻尾を振り回しているが手加減しているのだろうか。
奥まで突き刺して、尿道をゴリゴリに拡張開発?を見下ろしていると、斑くんは背中を反らせて腰を突き出した。戦慄く舌先に、そろそろかな?と呪いの最終段階に入る。来よりと去よりの参加によって呪の上書きは意外とスムーズに進んだように思う。
誰にとは言わないが、ほぼ毎日かわいがられているお尻の穴は上手に指に吸い付き、おしゃぶりが大好きなのが良い。ナカのコリコリした部分と、おちんちんに突き刺さった犬神の舌に奥の奥までなぶられて、小さなお尻はぷるぷる……、絶頂 したのを感じて、一気に呪いは完成したのだった。
「来より、満足しただろ?離れろ」
斑くんにしゃぶりつく犬神がいつの間にか、ちゃっかりチェンジしていて、来よりから去よりに変わっていた。あぐあぐ喉を鳴らしてお腹の、正確には膀胱あたりをふみふみしている。これは、たぶん飲尿かな?よっぽど美味しいのか簡単には離れる気はないらしい。二匹にもたまには役得があっても良いかと、少し考えてから戯れやすいように場所を空けると、もちろんその隙間にピタリと収まり、きゅんきゅんの精液を溜め込む小さなタマをベロベロにしたり、後孔に舌を差込だりとやりたい放題になったが。あからさまな腰を押し付ける発情のそれには、部屋の隅から冷気を感じたので、斑くんの口を使って勃 っきした欲望でガクガクして愉しんでいたのを中断して、「今はまだダメだ」としっかり犬神たちを止めるのであった。
ともだちにシェアしよう!