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終章

「河童見えてたんだ?」 「いや、役所の前で姿は初めて見た」  きゅうりをもぐもぐしている河童を見つめながら、オレたちは並んで弁当を食べる。  誠一郎が言うには、何かの気配はずっと感じていたらしい。  離婚騒動の後、近所の人間がオレの様子がおかしかったと言っていて、まるで何かと話しているようだったと聞き、極めつけに河童を見たので、もしかしてと思ったらしい。 「キュウリ大量にあったのも気になってたからな。俺もお前も野菜好きじゃないだろ」 「あんた意外と理解あるよな」 おしまい

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