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第6話 終章

「ヒトの世に存在しないモノ。ただそれだけ」  つまりは人ではないと柊は言う。 「しかし契約は成立した。日向は私の嫁になった。これはどんなことがあろうと違えることは不可能。……弱っているときに付け込むのが、私のようなモノ」  少し申し訳なさそうに、寂しそうに柊は言葉を綴る。 「……騙したようで、悪かった」  この森はこの世とあの世の狭間に存在する、世界だと柊は説明する。  人が迷い込むと、自力で元の世界に戻ることは出来ないらしい。  大抵はヒトでないものに取り込まれ、糧にされてしまうと。 (柊は助けてくれたのかな)  そう考えると柊にとっては最大の譲歩で、最大の愛情表現ともいえるだろう。  まだ、自分を必要としてくれる人がいる。 (かなり嬉しい……かも)  雨粒の反射する光が、日向の心の奥底を照らしていく。 (見えない先の未来は何が起こるか、本当にわからないもんだなぁ)  鼓動が早まる日向の目の前に、柊の手のひらが差し出された。  日向は自分の意思で、それに手をのせる。   「さぁ日向、共に行こうか。日向の住処へ」  
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コメント
4件のコメント ▼

拝読させて頂きやした✨ 辛い現実の中で、迷いながらも前に進もうとする日向の心情が伝わってきたよ。 柊が人ならざるものだとしても、日向にとって掛け替えの無い存在になっていくんだろうなぁ。 悲しい雨が暖かな雨に変わり、そして穏やかな日の光が日向を照らしてくれる。そんな印象を受けました。 素敵な物語をありがとぉ(❁´ω`❁)💕

ありがとうございます。ひたすら土下座!!!!本当に感謝!!!

読ませていただきました(❁´ω`❁) 切ないような尊いような 逃げることは時に必要だと思う! 幸せに暮らしてくれるといいな(❁´ω`❁) 素敵な作品有難う(´。>ω(•ω•。`)ぎゅー♡

読んでくれてありがとうございますm(*_ _)m スランプの壁が…💦大変でした💦 でも、感想めちゃくちゃ嬉しい! 感謝!!!!♡♡

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