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梅雨っていうのは、急に雨が降る

「…雨、降ってる。」 ふと、家に響く雨の音にゲーム機の画面から窓へと視線を移した。 窓に当たる無数の水滴が、雫となって下に落ちるを繰り返す。 さっきまで晴れていたのになぁ…なんて思いながら、ゲームの電源をオフにしてスマホを見ると、メッセージが届いてた。 「『今日は早く帰れるから、いい子で待っててね』…って、いつもいい子で待ってるし!」 ゲームに夢中になりすぎて気が付かなかった、十分程前に送られたメッセージに急いで返事を打つと、それを待っていたかのように秒で既読がつく。 『いつ帰る?』 『今もう学校出たよ!』 『わかったよー気を付けてね!』 『ありがとう!今日はいいものあるから、楽しみにしてて』 なんて他愛もないやりとりだけど、たったそれだけでも嬉しくて、つい頬が緩む。 同じ家に住んでいるから毎日顔も合わせるけど、やっぱり恋人と離れている時間は寂しいし早く会いたいって思ってしまう。 「…迎えに行っちゃおうかな。」 シュンくんが帰ってくるまでの時間が待てず、俺は迎えに行こうと決めて玄関へ走った。 靴が濡れるのは嫌だから長靴を履いて、傘立てから傘を取って外へ出る。 「…っん!?この傘壊れてる!!」 バサっと傘を開いた途端、金具が数本折れていて、それはとても傘としての機能を果たせそうになかった。 一人一本の傘で、よく見るとそれは父さんのもの。つまり、壊れているから今日は俺の傘を父さんが持って行ってるという事になる。 ニートだから外に出ないと思ったんだな…正解といえば正解だが…。なんて思いながら壊れた傘をもう一度仕舞った。 「さてと……。」 傘無き今、雨が降っている俺に残された選択肢は二つ。一つ目は、諦めて家で待つ。二つ目は、カッパを着ていく。 「カッパ〜?カッパか〜。うーん。」 靴箱の上に置いてあるカッパの入った収納袋をを手に取り、悩む。 だってこの歳でカッパって着ないじゃん。俺もう成人した大人よ?そこはスマートに傘差して「おかえり、シュンくん(キメ顔)」って現れたいじゃないの。 「う〜!もぉ!しょうがないなぁ!」 悩みに悩んだ結果、俺は組み立てた理想をガラガラと崩して、仕方なく収納袋を開けた。 だってシュンくんに早く会いたいんだもん!!

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