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梅雨っていうのは、急に笑いがやってくる
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「シュンお前もう帰んのー?…って、なにスマホ見てニヤニヤしてんだよ!えっちなやつでも見てんのか!?」
「そんなわけないでしょ、緒方じゃないんだから。てか勝手に見んな。」
ナオくんとのやりとりに頬を緩ませていたら、友人の緒方が僕の肩に腕を乗せながらスマホ画面を覗き込もうとして来た。
それを阻止するかのように電源ボタンを押してポケットに仕舞う。
「んだよ、怪し〜!彼女かぁ?」
「…可愛くて堪らない恋人だよ。」
「え!?マジ!?お前彼女いんの!?」
「じゃ、帰るから。」
そう言いながらポンッと傘を開いて、雨の中を歩いて行く。その後ろで緒方が何やら叫んでいたけど、鬱陶しいから無視した。
「…フッ、いつか紹介してやろうかな。」
中学、高校、大学まで同じの腐れ縁。親が再婚した事は知っているけど、まさか義兄弟の相手と付き合ってるなんて知ったら…。
「反応が楽しみだねえ?緒方。」
きっと腰抜かして驚くに違いない。
そんな緒方の想像をして、クスクス笑いながら学校を後にした。
「そういえば、ナオくんから返事来ないな。」
メッセージの返信がないか確認するも、ロック画面は、嫌な顔をしながらフリフリのエプロンを身に纏うナオくんのまま。
きっとゴロゴロしながらゲームしてるか、テレビ見ながらアイス食べてるか、エロ本読んで一人でシてるか……。
「…早く帰ろ。」
三番目だったらお仕置きしちゃおう。と、心を踊らせながら家までの一本道を歩く。ザーザーと降り続ける雨の中、ナオくんのことを考えていたら、なんだか無性に会いたくなった。
同じ家だし、朝だって顔見てるし、なんならさっきまでメッセージのやりとりしてたけど、一番近くでナオくんの体温を感じたい。声が聞きたい。…僕に向ける笑顔がみたい。
「とぉーう!」
「…っ!」
とことん自分の愛は重いな…なんて呆れていた時、聞き慣れた声が聞こえて、思わずパッと顔を上げる。
「バシャー!バシャー!」
「………。」
人通りもなく、雨で景色が悪い一本道。
僕の存在に気が付かず、楽しげに水溜りの中で足踏みをする少年…、否。青年がいた。
「フンッ!フンッ!水溜りの水をなくしてやる!」
「…ふはっ!」
「えっ!?…あっ!?シュンくん!?」
僕が耐えきれず吹き出すと、その声に気が付いたナオくんが勢い良くこちらを見る。
「ナ、ナオくん…っ、なにして…っふふ、アハハハッ!」
「あ…っ、うっ、ちが…!」
プルプル震えながら、顔を赤くさせるナオくんはどこまでも可愛くて可愛くて、その可愛さは無限大だなと思いながら、腹を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
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