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梅雨っていうのは、急に愛しさが込み上げる

深緑色のシンプルなレインコートに、茶色の長靴を履いて、一人水溜りで遊ぶ姿がツボにハマる。 「も、もぉ〜!シュンくん笑いすぎ!!」 声も出せずに震えながら笑う僕の所に、パシャパシャと水を跳ねさせながらナオくんが走ってきた。 「シュンくんの事、迎えに来たんだよ?」 「ふふっ、水溜りで遊びながらっ?」 「だから違うって!たまたまそこに水溜りがあって、バシャッてやっちゃったの!」 誰がどう見たって楽しげに水溜りで遊んでいたのに、たまたまとか言い訳する姿ですら愛しく思う。本当に彼は、一緒にいて飽きない人だ。 「はー、そっかそっか。そういうことにしとこうね。」 ようやく笑い地獄から解放され、息を吐きながらスッと立ち上がる。僕の言い方に、ナオくんは少し顔をムッとさせるが、全然怖くなくて逆にキスしたくなった。 ごめんごめん、と謝りながら、口を尖らせるナオくんの頭をカッパごと撫でる。 「…シュンくん。」 「ん?」 「おかえりー。」 へらりと笑いながら、頭に置く僕の手にナオくんが自分の手を重ねる。 雨で濡れていても暖かいナオくんの体温が、僕の手の甲から伝わった。 「…ただいま。」 ザーザーと降っていた雨は、気が付けば小降りになり、辺りがだんだん明るくなってきて。 「俺さー、シュンくんにさー、早く会いたかったんだー。」 少し頬を赤くしながら嬉しそうに笑う笑顔が、まるで雨の日に咲く紫陽花のようで…、一瞬にして僕は心を奪われた。 「…僕もね、ナオくんに会いたかったよ。」 「しゅ、んぅ…っ、」 周りから僕たちを隠すように差した傘の中で、ナオくんとの距離はゼロになる。 柔らかい唇に、触れるだけのキス。 「…ン…。」 ナオくんは、最初こそ驚いた顔をしたものの、すぐに僕のキスを受け入れてくれた。スッと目を瞑り、唇で僕の熱を感じてくれているナオくんに堪らない気持ちでいっぱいになる。 「…ふふ。」 「ん?」 不意に笑い出したナオくんに、唇を離して小首を傾げる。 「シュンくん、エスパーみたい!」 「え?」 「俺がしてほしいこと、なんでもわかっちゃうんだもん!」 口元に手を当てながら、クスクス笑うナオくんに、キューンと胸が鳴った。 "してほしいこと"って、そんなの……。 「可愛すぎでしょ…。」 可愛くて、おバカで、愛おしい。 晴れた日も、雨の日だって、君の笑顔で癒される。 「うん?」 「なんでもないよ。ほら、一緒に帰ろ。」 すっかり上がった雨の代わりに、太陽が僕たちを照らす。 傘を閉じて、ナオくんと手を繋いで歩き出した。

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