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第1話

季節は六月真っただ中。今日も冷たい雨が降りしきる。時間にしてみれば夜の九時を回った頃だろうか。傘も持たずに家を飛び出した僕はずぶ濡れ。 「寒い……」  昼間はジメっとした暑さにも関わらず今日は気温が上がらず寒いくらい。住宅街の道は明かりもまばらで薄暗い。 「はぁ……」  僕、高橋陽向(たかはしひなた)優真(ゆうま)と結婚して二年目の梅雨。初めて大喧嘩をして無我夢中で飛び出してきた。二年前法の改正で同性婚が許された僕と優真は籍を入れた。それから二年。喧嘩をする事もなく毎日楽しく過ごしていた。  けれど今日の昼間見てしまった。楽しそうに女の子と会話しながら一緒にいるのを。店長に言われて買い出しに出た道中の中だった。時刻は昼。昼休みだったんだろう。普段通らない道なんて行かなきゃ良かった。そしたら何にも知らずに今日も呑気に過ごしていたのに。  「優真の馬鹿……」  目の前が霞む。雨の所為なのか涙なのかもう分からない。僕がふと足を止めると小さな公園。僕は冷え切った身体で公園へと足を踏み入れた。とりあえず雨足を避けるため公園内の遊具に潜り込む。 「今日は冷えるな……」  濡れた手でスマホを取り出すと時間はもうすぐ十時を指そうとしている。勢いよく飛び出したのはいいけど、帰るに帰れない。僕は身を屈め冷えた身体を丸める。雨は止むどころか酷くなっていった。 「明日仕事なんだけどな……クシュッ」  風邪引きそう……。震える手でもう一度スマホに視線を落とすけど優真からの連絡はない。 「……やっぱり女の子がよくなったのかな」  そんな訳ないってどこか頭の隅で思っても、昼間の光景が頭を霞め、納得できない自分がいる。こんな事今まで一度もなかったのに。  

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