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第2話
愛生side
あの日は雨が降っていた…。これは、俺の運命が変わった日の話だ。
俺は今まで人に愛されたことがない。俺が不倫して出来た子だから。それを知ったのは最近のことで、妙に納得したのを覚えている。愛人の子に『愛に生きる』なんて名前をつけるのは悪趣味過ぎるだろ。
「愛生っ!!いい加減の服装を正しなさいっ!貴方一応風紀委員でしょ!」
「うっせぇ、ほっとけ…。だいたい俺は風紀委員なんて、面倒なものになる気なんざなかったんだ!勝手に決めやがって…」
「それは貴方が委員会決めの時にズル休みをしたからでしょ!自業自得です!!」
LHRなんてセンコーの話を聞かされる面倒な授業。サボるに決まってる。俺の担任は、生徒指導の担当らしく、俺を見るとぐちぐちとうるさいのだ。
「チッ…」
「どこに行くのです!愛希っ!待ちなさいっ!!」
「うっせぇーなっ!ついてくんなっ!!」
その足で屋上に向かう。生憎今日は雨で、外に出れない。だから、踊り場でのんびりする予定だった…。
予定だったのだが、そこには知らないやつがいて、とても可愛いやつだった。
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