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第3話

愛生side 寒そうにしてるそいつに俺の着てたパーカー(校則違反)のものをかけてやると体温が心地よかったのかすり寄って、ぎゅっと握っている。 彼が動いた時に見えた首筋には、手の後が残っていて、気になった。手を伸ばして首に触れると目を覚ました彼は、パニックを起こし過呼吸になった。 「ヤッ……やめっ…はぁ…はぁ……はぁ…ッグ……はぁ…はぁ……」 「おい、落ち着け。何もしねぇーよ。ほら、俺に合わせて息吐け。スーハー、スーハー……ほら、やってみろ。スーハー、スーハー」 「はぁっ……はぁ…すー……、はー…はぁっ、…すー、はぁー……ゲホッ、ゲホッ……すー、はー……ケホッ…」 抱きしめて、落ち着くようにポンポンしてやりながら呼吸をするとだんだんと落ち着いてきたみたいだ。 とりあえず、名前を聞かないとダメだよな。それにこいつ可愛いし、気に入った。 「お前、名前は?」 「むつ、き……。相原、睦月……」 相原睦月…。俺も知っている名前だ。なんでも今年入ってくる問題児らしい。風紀の方で目をかけるように言われていた生徒だ。 「ふーん、一年か。ここ立ち入り禁止だぞ?」 「…そ、なんです、か……?せん、ぱい…?なまえ……」 たどたどしい話し方はこいつの精神年齢が幼いせいだろうか。なんとなくだが、俺と同じ気がする。誰かの愛に飢えてる。そんな感じがした…。 「俺は愛生。愛に生きるって書いてアイキだ。お前、その傷どうした?」 「……こ、けた…」 「ふーん。手当てしてやるから付いて来い」 いきなり傷のことを聞いて悪かったが、転けたは無いだろう。明らかに転けて出来た怪我じゃ無い。 とりあえず、手当てをしてあげよう。風紀室には、まだ人がいるだろうし、家に連れて帰るか。

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