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第4話

愛生side 俺の家は代々医者の家系で、俺の兄も医者を目指して医大に行った。俺はどれだけ頑張っても褒めてもらえなかった…。 それが辛かった。愛されたいって強く思った。願って願って…必死に頑張っても無理だって気付いてからは、グレた。グレても見向きもしてくれなくて、怒られることもなくて…。すごく寂しかった…。 とにかく、褒められたくて、愛されたくて頑張った勉強がここで役立つとは思わなかったな…。 「ほら、服脱げ。手当てするから。それとお前、毎日ここに来い。それで俺の話し相手になれ」 「…うん。分かった…です」 その日から、放課後毎日、俺の部屋に睦月を連れ込んだ。俺たちの会話の話題は大抵たわいもない日常会話だった。 睦月も、たどたどしくだが、少しずつ心を開き始めてくれて、少しずつ会話が続くようになってきた。 「愛生、せん、ぱい…、は、……ウリ、してるの……おこる……?」 「睦月はウリをしてるのか?」 「……ん、おこる…?…おこるの、……ヤ、ダ…です。……僕、ウリ、……したく、ない…です」 おそらく複雑な家庭事情ってやつだ。ウリはしたくないが、ウリをしないと生きていけない。だから心が拒否して成長出来てないし、言葉もたどたどしくなっているのだろう。 幼い頃からウリをしてたんだろうな。きっと始めて抱かれた日から睦月の精神年齢は変わってない。 「お前、今何歳だ?」 「今年、16歳…です」 「精神年齢は、何歳だ?怒らないから、正直に言ってみろ」 「……10さい…、です…」 10歳という事は小4か…。かなり幼い頃からだったんだな…。今なら一歩踏み込んでもいいだろうか……。 「なぁ、睦月のこと、全部俺に教えてくれないか?」 「…ん、……わかった…です。……でも、僕、……ひとり、ヤです…」 「嗚呼、大丈夫だ。お前から離れたりしない。だから、話せる事から話してくれ」

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