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「はあぁ~、あったまるぅ~」  湯船に浸かり、一日の疲れを癒す。  落ち着いたところでお湯の中で膝を抱え、祥はやらなければならない事を自分に言い聞かせた。 (俺は今日、園山が何でヘッドホン外さないのかを聞く。そんで、おとといのこと謝って、何で急に帰ったのかを聞いて……とにかく分かんない事全部聞く!)  風呂から上がったら言おうと決めたのだ。ぐずぐずしている訳にはいかない。自分に気合いを入れて、湯船から勢いよく立ち上がった。  リビングに戻ると、ドアを開ける前に大きく深呼吸をする。 (頑張れ俺!)   祥は大きくドアを開けた。園山はさっき祥が寝ていたソファに腰掛けている。  傍まで行くと、向こうもこちらを見上げてきた。 「園山、ちょっと大事な話があるんだけど」 「うん。知ってる」 「へ?」  祥は戸惑った。なぜ、まだ何も言っていないのに分かるのだろうか。 「でも、その前に……」  園山は立ち上がると、祥と体の向きを入れ替てくる。そして肩に手を置き、そのまま身体をソファの上に押し倒されてしまう。 「な、なに――んぅ!」  祥の言葉は途中で遮られてしまった。園山の唇が祥のそれに重ねられたせいで。 「待てよッ、なんでこんなこと……」  慌てて園山の身体を押し返し、その理由を尋ねた。 「ごめん。本当は俺も風呂に入ってからにしたかったんだけど、もう限界」 「いや、そうじゃなくて、何で――っていうか、俺の話聞けよッ」  暴れる身体をソファに押さえつけられ、身動きを封じられてしまう。 「井瀬塚の言いたいことは分かるよ。俺が何でこのヘッドホン外さないか、でしょ」  そう言うと園山はヘッドホンを外し、ソファの前のローテーブルに置いた。その様子を目で追いながらも、今の状況が理解できない祥は不満げな声を漏らす。 「分かってんなら教えろよ! 日曜日お前が勝手に帰った理由も」 「それは井瀬塚がよく分かってるんじゃない? 筑戸と仲良いんでしょ」 「はぁ?」  どうしてそこで優梨の名前が出てくるのだろう、と祥は首を傾げた。あの時、ヘッドホンを外してしまったから、それがショックで帰ったものだと思っていたのだが、違う事情があったというのだろうか。 「何言ってんだよ。あと、何で今ヘッドホン外したんだよ!」 「井瀬塚の声がよく聞こえるように」  そう言って再び唇を塞がれる。これでは声など聞こえないではないか。

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