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「んぅ……ん」  園山の舌が口の中へと侵入してくる。舌同士が擦れあうと、身体の奥からぞわぞわとした感覚がこみ上げてきた。 (何で俺、こいつとキスしてるんだ? ていうか、まだ女子ともしたことないのに……っ) 「あ、初めてだったんだ」 「なっ、お前には関係ねーだろ!」  あっさりと見破られて、祥は顔を真っ赤に染めた。  どうして伝わってしまったのだろう。反応があまりにも初心(うぶ)だったのだろうか。それはそれで恥ずかしい。 「かわいいね、井瀬塚」  また、キス落とされた。だが今度はそれと同時にパジャマの裾から手が忍び込んでくる。  下腹部から腰を撫で上げられ、祥の身体がひくん、と震えた。 「ん…んっ……ぅく」  その手は徐々に上へのぼっていき、胸の上で動きを止める。心臓はすでにもの凄い速さで拍動を繰り返しており、それが全て園山の手に感じ取られているのだと思うと、恥ずかしくて逃げ出したくなる。  しかし巧みに口の中をまさぐられているせいで、手足に上手く力が入らない。  祥は、もう逃げ出すことも、(あらが)うことも出来なくなっていた。 「ぷはっ、あ…そ、そのやま……」  ようやく唇が解放され、荒々しく呼吸をしていると、パジャマを胸の上までまくり上げられた。  園山は祥の薄い身体を、形を確かめるようにゆっくりと撫でてくる。 「井瀬塚、水泳部でしょ。こんなに細くて大丈夫?」 「ん…俺、筋肉つきにくくて……」  今はこんな話をしている場合ではない。  頭では分かっているのに、当たり前のように質問に答えてしまった。 「――あ、そこは……っ」  不意に胸の先を摘ままれて息を呑む。今まで意識していなかったところに急に訪れた刺激は、いとも簡単に祥を翻弄させていく。 「ねぇ、ここ気持ちいい?」 「や、くすぐったぃ……ぁ、あ!」  不確かな感覚に身をよじるが、園山はしつこくそこを弄ってくる。  そっと撫でられたり、押しつぶすようにされたりすると、勝手に喉が鳴ってしまう。 (なんだよ、これッ)  気持ちいいかなんて分からない。だって、こんなことをされるのは初めてなのだから。  これはただくすぐったいだけで、こんなシチュエーションだから敏感になりすぎているにすぎない。そうに決まっている。

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