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6-6※
「あれ、結構心に刺さったというか……。俺、井瀬塚に嫌われてるのかもって思って……」
「それで学校来なかったのか?」
「うん……失恋なんかで学校休んで、自分でもバカだなって思ったけど、本当に、どうしたらいいか、分からなくて……」
自分はそんな園山の所に押しかけてしまったのか、と少し後悔した。
あの時祥が行 ったことは、園山の心の傷を抉 るようなことだったのだろうか。
「でも、急に井瀬塚がうちに来てびっくりしたよ。そのとき思ったんだ。これで最後にしようって」
「最後?」
「うん。井瀬塚に好かれてないなら、俺が好きだって思っていても迷惑になる。一回だけやって思いっきり嫌われれば、井瀬塚に話しかけられなくなるだろうし、俺も諦めがつくと思って。ごめん、怖かったよね」
(そうか、だからヤる時ヘッドホン外したのか)
初めての体験をした祥は混乱し、痛くて苦しくて仕方なかった。そんな心の声を全て聞いていたら、園山だって平気ではないはずだ。自らを傷つけてまで祥と離れ、距離を置こうとしていたなんて。
「そういうのもう止めろよ。一番辛いの園山じゃんか……」
「でも、傷付くのは慣れたから」
それでは駄目だ。慣れた、の一言で片付けてはいけない。自分は恋人なのだから、園山を傷つける全てのものから守りたい。
祥にできることといえば、話を聞いてそばに居てあげること位しかないけれど。そんなことでも、役に立てるのなら――――
「その……な…永緒が、今まで耐えてきたこと、これからは俺と二人で分ければ、少しは気が楽になるんじゃねーの?」
園山の名前を口にした時、体温が一段と上昇してしまったのが自分でも分かった。
だがそれと同時に、背中から響くもう一つの鼓動が早くなったのを感じた。
「うん。ありがとう、祥」
名前を呼ばれた瞬間、胸の奥から暖かいものが湧き上がってきた。それはじんわりと、全身を駆け巡っていく。
友達だった園山が、今日からは恋人になる。
永緒と、恋人になれる。
顎を掬い上げられた祥は、自然と目を閉じていた。
唇を重ねられ、小さく息を漏らす。すると、口の中に入ってきた舌が祥を翻弄した。
「ん、ふ、んん……」
首を後ろに向ける体勢はきつかったが、夢中で舌を絡めていく。
祥のほうからも舌を差し出すと、その先を強く吸い上げられた。拙い動きにも、永緒はちゃんと応えてくれる。
「ん、んん…んぅ」
顔に添えられていた手はだんだん下に下がり、制服の上から身体をまさぐり始める。
すると腰の辺りに何か硬いものが当たり、祥は慌てて永緒の顔を引き剥がした。
「おい、おまっ、これ……!」
「ごめん、もう我慢できない」
「でも、場所が……」
ここは学校の屋上だ。いくら辺りに高い建物が無いといっても、見られる心配がない訳ではない。
「じゃあ、こっちは?」
永緒はそう言って立ち上がると、塔屋の影へと場所を移した。そこも屋外であることに変わりはないが、隠れる場所がないよりはましだ。塔屋の中だと階段に声が響いてしまうかもしれない。
永緒の後に付いていき、今度は向き合うようにして腰を下ろした。
手がこちらに伸びてきて、シャツのボタンを一つ一つ丁寧に外していく。
「……ッ」
指先が少し触れるだけで肩がぴくっと跳ねてしまった。場所が場所ということもあり、かなり敏感になっているようだ。
やがて全てのボタンを外し終わると、胸の先を軽く摘まれる。
「ぁ……ふぁっ」
少し弄られただけで、祥の乳首は固くしこっていく。尖ったそこを爪で引っかくようにされて、喉から甘い声が鳴った。
「ここ、感じる?」
「や、ぁあ!」
前回はくすぐったさが入り混じった不確かな感覚に身悶えていたのに、今ははっきりとした刺激として感じ取ってしまっている。
強弱をつけて抓られると、祥の下着の中も少し窮屈になってきた。
思わず腰をくねらせると、それに気が付いたのか永緒にベルトを外され、ズボンの前のチャックも開けられてしまう。
「おい、ほんとに、ヤるのかよ」
「少しだけ。すぐ終わらせるから」
そう言って永緒は祥の下着を下ろし、足をM字に開かせる。
「や、永緒、これ、恥ずかし……」
あられもない格好につい目を背けてしまう。
だが永緒も自身を取り出したかと思うと、祥の手を取りそちらの方へと導いていく。
「祥、俺の触って」
「ん、うん……」
恐る恐るその欲望に触れてみる。指を絡めて上下に動かすと、永緒が息を零したのが分かった。
(良かった、感じてくれてる)
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