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第1話

「………みんな聞いてくれ。とうとう部屋にてるてる坊主がぶら下がった…。」 大学の食堂。一限目が終わり、昼時ではないため人は多くない。うるさくない程度のざわめきがあるが、俺の周りの友人は神妙な面持ちで俺を見つめた。 「まじか……。」 「とうとうベランダまで到達したか。」 「……本当にお前思いな奴だな……。」 「雨嫌だって言ってたもんね。」 「…どこから誠士(せいじ)の情報が漏れてるんだろうな。」 「とうとうてるてる坊主まで……ぶふっ」 1人の友人が吹き出すと、釣られてみんなが笑い出した。 「ちょいちょいちょい!まじで俺怖ぇんだよ!」 「すまんすまん…っ。怖いんだが、このストーカーやってる事が可愛いくてついつい笑いが出るんだよ。」 今、俺の周りにいる3人がいつもつるんでいるメンバーである。一番最初に吹き出し、ストーカーを可愛いと言ってるバカは時枝櫂(ときえだかい)。俺がストーカー被害を報告すると決まって爆笑する、筋トレ大好きな脳筋野郎だ。 「誠士のことまじ詳しいよね。案外近くの人だったりして〜。」 能天気ににこにこ笑って怖いことを言っているこいつは三浦燈慈(みうらとうじ)。顔もよく、にこにこ笑顔で女はよく寄ってくるが、毒舌なので長続きしない。 「誠士のことよく見てる。」 声に抑揚がなく、いつも冷静な喋り方をするこいつは輪島皇樹(わじまこうき)。こいつも顔がいいが、女子と会話が続かず女子がめげる。 そして俺、宮ヶ原誠士は、特に顔もカッコいいと言われたことはない平凡顔でありながらストーカー被害真っ最中である。

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