8 / 8
第8話
うまくいった。
誠士が食堂で席を離れたとき、他2人と話しながら鍵を盗った。
4限が終わり、直ぐに誠士の家に向かった。ボランティアで帰ってこないことはわかっていたから。洗濯とゴミ捨てと歯ブラシを変え、料理を作った。事務所が17時30分までだったので、間に合うように部屋を出る。
そして事務所の前に並んでいた女の子に「時間がなくて、行かなきゃいけない。これ落し物だから一緒に渡してくれると嬉しい。」とスマイルで言って、届けてもらった。
みんなで誠士の家に行って、異常がないか探していたときに中岡のフィギュアを見えるところに置いた。中岡のフィギュアはボランティア部にいる気の弱そうな男子に「実はあれはペアで、中岡の彼女から一回回収して欲しいって頼まれたんだ。お願い!」と勢いで頼んで盗ってもらった。
その後は誠士のホットココアに睡眠薬を混ぜ、寝ている間に中岡に『具合が悪い、直接伝えたい事がある。明日の1限がL1であるから待ってて欲しい。』とLI INEを送り、返信を確認して消した。
「また雨降ってるな。」
「本当、じめじめして肌が気持ち悪い。」
「じゃあ1ついいニュース〜」
「えっ何々?」
誠士が俺の顔を覗き込んでにこにこと笑う。可愛い。
「今日は〜……俺の誕生日!」
「あー!そうじゃん!ごめん忘れてた!」
「ヒドイ。」
「ごめんって!コンビニでケーキ買おうぜ。」
「コンビニかよ〜。」
「他にも2000円以内なら買っていいぜ!」
「やった、ゴチ。」
「そう言えば去年も一緒に誕生日過ごしたな。」
「あ、確かに!お前俺でいいのかよ〜。」
「聞くなよ…。」
「ははっ、ごめんごめん!」
「…そういえば去年も梅雨の時期にストーカーに遭って、お前に助けてもらったなぁ。」
「そーいやあったなぁ。」
「あん時もだけど、今回もありがとな。」
「ばぁか。照れるだろ。」
照れたように笑う顔が眩しい。俺のせいだといったらどんな顔になるのかな。
誠士、お前が俺を助けてくれた。お前に救われた。人助けが好きなお前もいいけど、もうそろそろ俺だけを見て欲しい。
「時枝ー!今日はパーっと行こう!ハッピーバースデー!」
「ありがと。」
さぁ次はどうしようかな。
ともだちにシェアしよう!