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第10話 溢れ出す欲望。
まだ乾き切っていない湿った髪に手を伸ばし指でとかした。頬を染め俯く陸斗に、俺を意識してくれているのかと期待してしまう。
下唇を親指の腹でなぞると、隙間が開き赤い舌がちらりと見えた。今まで見た事が無い彼の表情に心臓が激しく波立つ。
俺の気持ちを知ったら卑怯者だと罵しるだろうか。後悔する時が来るかも知れない。
其れでも陸斗に触れたい。此処で止めてしまったら、こんなチャンスは二度と訪れない。
『抱けるよ。』
「でも…好きな人がいるんだろ?」
『…お前は?』
「え?」
『好きな奴がいるのに、俺に抱かれても良いのか?』
「……」
ベッドが僅かに揺れた。唇に陸斗の熱を感じ、答えの代わりにキスをされたんだと気付いた。
ずっと堪えていた欲望が堰(せき)を切って溢れ出す。逃げられないよう背中に腕を回し、腰を引き寄せた。唇を重ね歯列を舐めると、陸斗が舌を差し出し絡めてくる。
驚きと喜びで心が震えた。
「んっ…はぁ…」
口端から漏れる甘い吐息とぴちゃぴちゃと跳ねる水音に身体が熱くなる。言葉は上手く紡げないのに、身体は正直だ。
シャツの裾を一気に手繰り上げる。露わになった桜色の乳首にむしゃぶりつき突起に歯を立てかりっと噛むと、枝がしなる様に陸斗の背が反った。
「あっ…んんっ…」
ハーフズボンに手を掛けずり下ろす。白色の真新しいボクサーパンツの中心が盛り上がり、染みを作っていた。 布越しに亀頭を揉むとくちゃくちゃといやらしい音がする。
俺だけじゃない。陸斗も感じている。
「んぁっ…やめて…」
『何で?こんなに濡れているのに。』
「いやだ…」
腕で目元を隠す姿に、はっとする。そうだ、陸斗は俺に抱かれたい訳じゃない。俺はちゅん太の代わりでしかない。
『分かった。目隠しするから。』
「…え?」
壁に掛かっている制服からネクタイを引き抜き、陸斗の目を覆う。
チェストからゼリー付きコンドームと媚薬クリーム取り出し傍に置いた。数時間前の自分は、此れを使う事になるとは思いもしていなかった。
全裸になって彼の上に覆い被さり、身動きが取れないよう押さえ込んだ。
『此れで良いか?』
「そうじゃなく…あうっ!」
拒否されるのが怖くて、何も聞こえない振りをした。陰茎を根元まで咥え吸い上げる。
「はっ、ダメ…出ちゃ…ぅあっっ!」
上下に扱きながらカリ首を舌先で突くと、下肢がビクビクと震え、陸斗の先端から雄液が勢い良く吐き出された。口腔内に広がった苦味がある生暖かな其れを、大樹は全て嚥下した。
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