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0 想い
「エイトのこと、大好きだよ」
ふんわり笑顔を浮かべる君に、俺の心は今日も殺される。
「エイトがαだったら良かったのになぁ」
何度も何度も繰り返される残酷な言葉。
俺は、その度に越えられない壁を突き付けられ成す術がなかった。
「あ、でも、エイトがαだったら、俺なんて相手にされないか」
返し刀で自分も傷付け、自嘲しては泣いている君。
両耳を塞いで蹲る君に俺の声は届かない。
君が見ているのは、Ωの自分。
君が囚われているのは、狭い世界。
君は、俺のことをβと言うフィルターを通してしか見てくれない。
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