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《3》
母さんは、元々病弱で、病院の入退院を繰り返していた。
家は二階建てのボロアパートの一階。
六畳一間の狭い部屋に、母子二人で暮らしていた。
貧乏だったけど、母さんと二人の生活は何の不満も有りはしなかったし、幸せだった。
俺は勉強も出来る方じゃないし、素行も褒められたもんじゃない。
目つきが悪い所為か、よく面倒事に巻き込まれては喧嘩に明け暮れていた。
けれど、母さんは一度だって俺を責めたりはしなかった。
ただ、心配ばっかり掛けちまった事がとても申し訳無かった。
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