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《4》

そんな母さんが、長い病床生活の末に息を引き取った。 苦しい思いを沢山してきたから、やっと休めるなって母さんに向かって話し掛けた。 いや、 自分に言い聞かせたんだ。 だけど、涙は後から後から溢れて止まらなかった。 喧嘩したって泣いた事なんて無かった。 母さんを守れる強い男になりたかった。 だけど、もう、母さんは居ない。 空を見上げれば、今にも雨が降り出しそうに雲が蠢いている。 まるで、今の自分の心と一緒だ。 そう思った瞬間、 雨が、降り出した。

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