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《5》*

良次が短く息を吐く。 「は…、利久…、ずっと抱きたかった…」 項に口付けられて囁かれれば、あまりの快感に涙が溢れた。 良次も会えない間、触れたいと思ってくれていたのだと知って、胸がいっぱいだった。 だけれど、感動しているのも束の間、良次が耳元で悪戯っぽく囁いた。 「そういえば、鍵掛けるの忘れてた」 「………え………?」 一瞬、何の事だか分からず硬直する。 良次の言葉の意味を理解すると、急にここが玄関だった事を思い出す。 こんな所で、俺…、良次に抱かれている。 思い出した途端、羞恥が襲ってくる。 「いやだぁ…!や……、良次ぃ…!」 「恥ずかしいの…?っ…後ろ、キュウキュウ締め付けてくるよ」 言葉でまで責められて、あまりの羞恥に逃げようとする腰を引き寄せられ、深くまで挿入される。 「んあぁっ…!いやぁ…!や……!!」 「恥ずかしいのに感じちゃうんだ?」 「!?ち、違っ…」 「本当。最高だよ、お前」 背後でククッと良次が喉の奥で笑った。 「初めてちょっかい出した時ももしかしてと思ったけど、お前やっぱMなのな」 「!?」 「あれ?気づいてないんだ?自分の性癖も知らないって、どんだけ純粋なんだよ?」 性癖なんて、生々しい言葉に、ふるりと身震いした。

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