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《18》
ソファの上に座る良次の膝の上で、向かい合う形でその肩に頭を凭れる。
後片付けを良次がしてくれて、その後良次はぐったりとソファに沈み込んでいた。
俺も死ぬ程疲れた。
やった事のない体勢を取ったせいか、下腹部と脚の一部感覚が無い。
これは、絶対筋肉痛になるやつだ。
使った事のない、どっかの部分の筋肉が悲鳴を上げている。
良次に体重を預けながら、俺は、ふと行為の最中に良次が言っていた事を思い出していた。
「まだ、俺の事、ボコボコにしたい?」
「…………」
俺の言葉に、良次はすぐには答えなかった。
暫く、俺の頭を撫でて、フーッと大きく溜息を吐く。
「そんな訳ないでしょ」
「ふーん」
良次はそう言ったけれど、それがどこまで本心か分からなくて、良次の背中に回した腕に力を込める。
若干自嘲的な響きを含んだ良次の言葉の真意を探る様に、良次に頭を擦り寄せる。
「良次が、してぇなら、してもいいのに…」
「…………そういうんじゃないから。ほんと…、利久って心配になる位、献身的なんだから…」
「あんなに興奮しながら言ってたから、してぇのかと思った」
「お前と出会う前はね。まだ好きになる前だし…」
「好きになったら、もう屈服させなくていいのか?」
「………………やけに食い下がるね。何に、そんなに引っかかってんの…?もしかして、殴られるの好きだった?」
「別に…、良次の事知りてぇだけ。殴られんのは、好きじゃねぇ…けど、良次がそういう性癖があるんなら、嫌じゃねぇよって話」
「何だ、それ…。複雑なんだな」
「複雑なんだよ」
「…………そんな性癖ないよ。…まぁ、利久の事虐めたいとか、泣かせたいとかいう嗜虐的な性癖が全く無いかと言ったら嘘になるけど…」
「あるんじゃねぇか」
「…あるけど、傷つけたいとか怪我させたいとか、そういうんじゃないから、安心して下さい」
「ふーん…、複雑なんだな」
「ふっ、そう。複雑なんだよ」
良次が笑う。
俺もつられて笑った。
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