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《20》

笑ってる俺を幸せそうに見て、良次が口を開く。 「………でも、もし、出会い方が違っても」 良次の瞳がまっすぐこっちを見て、澄んだ綺麗な世界が広がる。 その世界に、俺が映る。 この世界が、今の俺にとっての全てなんだ。 「きっと、俺は、利久を好きになってたよ」 宝石箱をひっくり返して、宝石を散りばめた夜空みたいな世界。 その世界が、俺だけを映している。 「………っ!」 嬉しくて、力いっぱい良次に抱きついた。 「………う゛っ!!と、利久、苦しい…!」 良次の呻き声が聞こえて、慌てて腕の力を緩める。 「は…、ははっ、死ぬかと思った…」 「ご、ごめん…」 「なに、嬉しかったの?」 「………うん」 「ふふっ、ほんと、力強いな、利久は…」 言いながら、今度は良次が俺を抱き締める。 大切な、壊れやすい宝物でも扱う様に。 幸せ過ぎて、泣きそうになる。 良次に抱き締められる度、俺はここに居ても良いんだって言って貰ってるみたいで。 「どんな良次でも、俺ずっと良次の事を好きでいられる自信があるんだ」 俺がそう言うと、良次が目を見開く。 例え、どんな秘密があって打ち明けられたとしても、この先ずっと一緒に居て嫌な面が見えたとしても、ずっと変わらず好きでいられると思うんだ。 「だから、良次も俺の事、ずっと好きでいてくれる?」 「……もちろん」 返ってきた言葉に、満足して、俺は自分から良次にキスをした。

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