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《22》

良次の部屋から出た瞬間、天皇寺とバッタリ出会した。 瞬間、射殺されそうな勢いで睨みつけられる。 突然の理不尽な視線の暴力に、条件反射で思わず睨み返しそうになるのを、グッと堪えた。 これから怪我させたヤツに謝らなきゃならないのに、また新たなトラブルを生み出してどうすんだと自分に言い聞かせる。 天皇寺も、相原と同様に俺がメビウスに居る事が気に入らないんだった。 「………っ」 「………テメェ……!」 俺が集会に参加するのをよく思っていないのだろう。 何か文句を言われるのかと身構えた。 「羞恥心ねぇのかっ…?」 「は…?」 天皇寺の声が、震えている。 恐らく怒りで。 天皇寺の言っている言葉が理解出来ずに、俺はポカンと口を開く。 凄いバカ面をしていたんだと思う。 そんな俺の反応に、更に苛立った様に天皇寺が続けた。 「…っ、こんな場所で………、女みてぇな声で、バカみたいに喘ぎやがって…」 心底軽蔑してますって顔で、吐き捨てると広場の方へ消えていった。 残された俺は。 「……………え?」 呆気に取られて、バカ面と同じ様にバカみたいに立ち尽くすしか出来なかった。 そんな俺に、良次がフォローのつもりだろうが、追い打ちをかける。 「あー…、まぁ…、建物も年期入ってるしな…」 「な、なぁ…、良次………。こ、これって、まさか、声筒抜けだったり…する…?」 「…………」 「…何で、目合わせねぇんだ…?」 「…………」 「いや、こっち見ろっ!んで、答えろよっ!」 それで、理解する。 これ、完全にセックス中の声が筒抜けてたやつだ。 え? ただでさえ天王寺には嫌われてんのに、これは完全に軽蔑された。 いや、そりゃ睨むよ。 これから大事な話し合いって時に、部外者が勝手に来て、しかもでかい声上げてセックスしてたら。 そりゃ、怒りで声も震えるよ。 …聞こえてたとか、羞恥心で死ねるなら、俺は今死んでる。 「そ、そろそろ集会始まるし、とりあえず行こう、な!」 「無理っ!無理に決まって…、俺は絶対、集会出ねぇからな…!」 「と、利久…!」 突然蹲って駄々を捏ね出した俺に、珍しく良次が困った様におろおろしていた。

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