5 / 5

5

 アパートの部屋の前に来てドアノブを回すとなぜか開いていた。 ツクを先に入れようと促すも、家主が先だよぉと言われたからドアを開けて入ると、目の前が見えなくなった。 本日2回目のシチュエーション、ただ今回胸に飛び込んだのは僕の方みたい。 「ああ、この若い匂いたまらんわぁ」 サガ曰く赤ちゃんみたいなミルクの匂いがするとか……いや、赤ちゃんよりサガとの方が年近いんだけど。 スンスンと首に鼻を埋めて感動しているけど、絶対汗臭いと思う。 なんて思っていたら、サガとツクの服から真新しい服の香りがするなと感じた。 顔を上げると、電気がついていたからサガの柔らかい笑顔が眩しく見える。 「おかえりぃ、平太」 頭で補完していたものより、電話より……いや到底かなわないくらい癒される生の彼らに涙が出る。 「だだいまぁ’’」 人生で初めて、誰かに抱かれて泣くなんて恥ずかしいけど……サガだもんな。 「頑張ってきたなぁ、平太」 サガが優しく頭を撫でてくれるから、余計止まらなくなってしまったんだ。

ともだちにシェアしよう!