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アパートの部屋の前に来てドアノブを回すとなぜか開いていた。
ツクを先に入れようと促すも、家主が先だよぉと言われたからドアを開けて入ると、目の前が見えなくなった。
本日2回目のシチュエーション、ただ今回胸に飛び込んだのは僕の方みたい。
「ああ、この若い匂いたまらんわぁ」
サガ曰く赤ちゃんみたいなミルクの匂いがするとか……いや、赤ちゃんよりサガとの方が年近いんだけど。
スンスンと首に鼻を埋めて感動しているけど、絶対汗臭いと思う。
なんて思っていたら、サガとツクの服から真新しい服の香りがするなと感じた。
顔を上げると、電気がついていたからサガの柔らかい笑顔が眩しく見える。
「おかえりぃ、平太」
頭で補完していたものより、電話より……いや到底かなわないくらい癒される生の彼らに涙が出る。
「だだいまぁ’’」
人生で初めて、誰かに抱かれて泣くなんて恥ずかしいけど……サガだもんな。
「頑張ってきたなぁ、平太」
サガが優しく頭を撫でてくれるから、余計止まらなくなってしまったんだ。
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