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 アパート前に白い服を着た小柄な人が立っていた。 ちょっと怖くてライトを当てると、その人がぶんぶんと音が鳴るくらい大きく手を振り始めた。 その仕草に見覚えがあるなと思っているうちに、その人が走ってきて胸に飛び込まれた。 「へいちゃん! お疲れ様だぁね」 高い声と特徴的な口癖で胸に頭をグリグリしている人が頭に思い浮かべた彼だったから背中に腕を回した。 彼……羽鳥ツクは特徴からいったらネコなのに、僕の相手だと実はタチで、ドSになる。 ボブの髪を撫でると、くすぐったい!と言いながらまた頭をグリグリしてくるからかわいい。  「あっ、そうだ」 僕はポケットから500円玉を出して、ツクの手に握らせる。 「なにぃ? あにプレゼントぉ?」 不思議そうに顔を上げて、手を開いてみたツクは目を輝かせた。 「1番大きいコインじゃん、あにくれるのぉ?」 初めてお小遣いをもらった子どものような反応にツクって年齢詐称してないよなと思ってしまった。 「深夜手当ってことで受け取ってちょうだい」 足りないかもと付け足すと、考える顔をしたツク。 でも数秒後、バイブの時のような悪い笑みを浮かべる。 「ありがとうなぁ、プックと山分けするぅ」 高くも低くもない声で言って、ふふふと笑うツクがちょっと怖い。 「プックが待ってるから、早くいこぉ」 いつも通りの感じに戻って、さらりと手を繋いだツクとアパートへと上がっていった。

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