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第4話

いつも僕は出勤時間の30分は前には局についてるが、その時間にはすでに居る兄の姿がなくて、酷く嫌な予感がした。 そう言えば昨日は潜入捜査の当日だった。 作戦の成果についての報告書があがっていない。 何でもこなせるあの人が、誰よりも努力家なのは昔からだ。 完璧にこなせるように、すべてを準備しなくてはいけない人だ。 この時間にこないなんて有り得ない。 時間を見ると、すでに就業時間の5分前になる。 端末からアラート音が鳴り響いて、僕は恐る恐るといったていで通信ボタンを押すと、かなりやつれた表情の桑嶋の顔が映る。 『局長、すみません。昨日の作戦決行中に彼がヒートをおこしました』 桑嶋の表情にはなんとなく後ろめたさがあるのがわかった。 あきらかに桑嶋が彼と一線を超えたのがわかって、僕は奥歯をギリと噛み締める。 「まさか、桑島、兄とつがったわけでは無いですよね」 だとしたら、僕たちは義兄弟になるわけですしと続けると、桑嶋はまだとだけ答えて今日は自分も休みたいと言われた。 まだ? その言葉にかなりのひっかかりを覚えたが、何もいう言葉がない。 「わかりました。……兄をよろしく頼みます」 よろしくなんて他人に頼みたくない。 僕なんてあの人に近づくことすらできやしないのに。簡単に触れることが出来るだなんて、許せない。 胃の中から迫り上がる吐き気。 あの人を汚すだなんて、誰であっても……許せない。 絶対に。

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