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第5話
桑嶋と兄とのバディを一刻も早く解消しなくてはならない。
手遅れになってはいけない。
僕は兄の出している完璧な報告書に穴がないか、つけ入る隙がないか必死に探すが、どんなに読み返してもどんなに探っても落ち度はない。
データを探るのをやめて、どうしたもんか一日中考え続けた。
兄が1人でいることは、かなり危険なことなのは知っていた。本当にどうしようもなくなったら禁忌だなんて、両親も言わないだろう。
結婚していたとしても、情人として囲わせてくれるだろうと目論んでいた。
再三に渡って兄が見合いを繰り返しているのは、両親の行動を見ていればわかった。いつでも、兄が一番大切だと考える両親だった。
それは、他の親達は検査の前後で態度が変わるというが、僕にもわからないくらい彼らは変わらなかった。
それは兄が優れた人で、Ωだということは障害にならないくらいの能力の持ち主だからだろう。
早くつがいを与えて、兄に跡を継がせようとしてαとばかり見合いをさせているのは分かっていた。
だけどαのようにプライドの高い人間たちには受け入れられることはないと、僕は安心していた。
安心していたのに、今、危険信号が点っている。
自分がαの女性と結婚することに承諾したのも、いずれ、壊れた彼を手に入れられることを期待してたからだ。
桑嶋は、危険だ。
αであっても、孤児となり庶民に育てられた。
あの人が優れていても、プライドを傷つけられることはない。
あいつは、危険だ。
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