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第6話

焦りばかりが募って、僕は初めて彼に通信を入れた。画面ごしの彼はいつもより焦燥はしていたが、なんだか普段見える荒々しさがなくすごく綺麗に見えた。 「大丈夫ですか。決行中にヒートと聞いて、僕も心配になりました」 『メンタルの問題なのか、少し時期がズレちまってな。迷惑をかけてすまないな。セルジュには助けられちまった』 すっかりバディの桑嶋を愛称で呼ぶのが、また気に入らない。兄は僕のただ1人の運命なのに。 『アユミが俺を心配してくれるとか、凄く嬉しいよ。もう、嫌われちまったかなって思ってたから』 兄の面会にもいかなかったし、親にも兄の居場所を尋ねたことはなかった。 薄情だが、兄は運命の僕のところへ必ず戻ると信じていた。 「嫌うわけありませんよ。兄様こそ、全然家に戻ってこなかったじゃないですか」 責めるように言うと困った表情で形のよい眉をさげて、 『ああ、母さんからアユミがアレルギーだと聞いて、俺が行ったら気分悪くなるだろ。今だって、具合悪そうだ』 アナタが他の人を受け入れるとか、考えると吐き気がする。 僕のアレルギーは、多分そんな精神的なものだ。 今だって、桑嶋に抱かれたのだろうと考えるだけで、嘔吐しそうなのだ。 『でも、通信くらいは入れればよかったな。ごめんな』 何に対する詫びなのか、わからない。 「いいですよ。いまさら」 『まあ、親父に、やっぱり辺境に戻して欲しいって言ってみるよ。αだらけだからか、ヒートがおさまらねぇし、正直まともに仕事ができねえや』 その言葉に、僕はほっと胸撫で下ろした。 このまま、ここにいたら桑嶋も危ないし、この局のヤツらとも大分馴染んできているので危険だ。 「兄様がツライならその方が良いでしょう。父様に、僕からも頼んでみます。直接兄様が頼んだ方がいいかもしれないですが」 『そうだな、今日はおせえし明日にでも頼んでみるよ。ありがとうな、アユミ』 笑みを浮かべて理知的な目で見返す彼は、昔の彼のようで、なにも変わらないように見えた。 僕の憧れの存在のまま。

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