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第7話
それはただの八つ当たりだとは思っていた。
我ながら大人気ないなとは考えたが、気持ちというのはどうにも止められないものだ。
「桑嶋、君は報告書作ることはできたよね」
「はい、すみません。少しバタバタしてしまって、失念しました」
素直に頭をさげて、すぐに作成するとデスクに向かったが暫くしたあとに、こちらにやってくる。
まだ、兄の残り香があるのか桑嶋が近くにくるだけで、甘い匂いに酔いそうになる。
「なんだ」
「すいません。ダウンロードしたデータチップを、副局長の部屋に忘れてしまったようで」
桑嶋は困った表情で、機嫌が最悪な僕に外出の許可を求める。
ヒート中の兄の下になんかやったら、何があるかわからない。
本来なら、データの提出は兄にさせればいいのだが、報告書が何日もあがらないのは困る。
だが、更に匂いがきつくなるのも僕の精神衛生上耐えきれない。
「分かった。じゃあ、今日はこのまま戻ってこなくていいから、明日には報告書を出せ」
僕は、この時した選択を生涯悔やむことになるとは、この時は気づいていなかった。
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