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第9話

禁忌だから僕のことは運命ではなかったと、兄は簡単に切り捨てた。 そうだ。切り捨てられたのだ。 湧き上がる黒い想いはもう止められない。 僕は、隣で何食わぬ顔で証拠物件の話を他の局員と話している兄を見つめた。 10年前のあの日、ヒートをおこして隔離されていた兄の部屋に忍び込んで、ヒートに当てられて抑えがきかなくなったのは僕の方だった。 たまらず手を出した僕に彼はヒートの苦しみにあがらえずに、拒絶しようと必死になっていた。 泣きながら、それでも僕に詫びて快楽に狂うしかない彼を抱いたのは僕だったのに。 それなのに、彼はすべてを自分の責任にして背負い込んで、Ω専門の性犯罪者用の施設に入った。 そうまでして、彼は運命の番である僕を断ち切ろうとしたのだ。 それから実家にすらずっと帰ってこなかったというのに、僕の婚約が決まってやっと帰ってきたのだ。 祝いますよ。 仮初めの祝いのことばならいくらでも捧げますよ。 太陽のようなあなたに焦がれて伸ばした腕に、何度でも。 貴方が決めた運命など、それは、ただの幻想だといつの日か気づかせてあげますよ。 この命をかけて。

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