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第1話

 ザー……  鳴り止まない雨音。 「毎日、ジメジメして嫌だな」  通りすがりのサラリーマン達が話してる。  つい先週まで夏日だなんだって天気予報だ言ってたのに……  恵みの雨、貴重な水だなんて言っても、バスは混むし道も渋滞。梅雨なんて良い事なんて一個もない。 『星名(ほしな)に憧れてた』  アイツの言葉を不意に思い出す。  交差点の信号で立ち止まり、色とりどりの傘を眺める。まるで雨の鬱陶しさを誤魔化してるみたいだ。暗い空から降る雨は他の音を奪い、閉じ込められているような気になる。    雨が嫌い。  だけど、毎年、この時期になると思い出す。 『…………星名が好き』  高1の梅雨。ザーザー降りの雨の日、クラスメートの男に突然、告白された。  動揺して出てきたのは酷い言葉。  今でも忘れられない。目に溜まった涙とあの日の雨の音。  …………ただ傷つけただけだった。

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