2 / 15

第2話

 高1の6月、小テストが悪過ぎて一人だけ補習。言われた分をやったのに、先生が一向に戻ってこない。  梅雨は好きじゃない。雨が続くと部活、出来ないから。今日もサッカー無理なのか。つまんない気持ちでため息をついた。  水溜りができた校庭をボンヤリと見つめる。雨はドンドン強まり、窓から水滴が次々に流れ落ちた。  ガラッ。  …………やっと戻ってきたか。 「星名?」  名前を呼ばれ、振り向くとその場にいたのは先生じゃなくて…… 「雨宮(あまみや)」  クラスメートの雨宮だった。雨宮は背が低めで、男のくせに肩幅細いし、まつ毛が長くて二重で目はパッチリ。 「何してるの?」 「補習だよ。全然、ヤマ先来ないんだけど」 「外見てた?」 「あぁ。部活したいなぁ……って思って」 「サッカー好きなんだね」  その時、優しく雨宮が笑ってドキッとした。 「星名、まだ一年なのにレギュラーだろ?朝練も人一倍頑張ってるし、格好良いな……」    尊敬の眼差しで見られて、思わず照れてしまう。 「いや。別に」  俺は何をドキドキしてるんだ。男相手に…… 「雨、凄いね……」 雨宮が外を見て呟いた。 「お……お前は帰宅部だよな。趣味とか好きなものないの?」  ゆっくり雨宮が振り向いた。  …………ただ、黙って俺を見つめる。  え……何、この沈黙……  俺、なんか変な事、言った? 「雨宮?」 「…………ほ……星名が好き」  聞こえてきた言葉に思わず固まる。今、なんて言った……?  外から聞こえる激しい雨音。聞こえてきた言葉に動揺して言葉が出ない。 「部活、頑張ってて、優しくて努力家な星名に憧れてた。 気が付いたら、いつも目で追っていて……」  雨宮の頬が赤く染まる。  …………何それ。ちょっと待って。 「ずっと好きだった」  俺を見上げる雨宮の目は少し涙目になっていた。

ともだちにシェアしよう!