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第2話
高1の6月、小テストが悪過ぎて一人だけ補習。言われた分をやったのに、先生が一向に戻ってこない。
梅雨は好きじゃない。雨が続くと部活、出来ないから。今日もサッカー無理なのか。つまんない気持ちでため息をついた。
水溜りができた校庭をボンヤリと見つめる。雨はドンドン強まり、窓から水滴が次々に流れ落ちた。
ガラッ。
…………やっと戻ってきたか。
「星名?」
名前を呼ばれ、振り向くとその場にいたのは先生じゃなくて……
「雨宮 」
クラスメートの雨宮だった。雨宮は背が低めで、男のくせに肩幅細いし、まつ毛が長くて二重で目はパッチリ。
「何してるの?」
「補習だよ。全然、ヤマ先来ないんだけど」
「外見てた?」
「あぁ。部活したいなぁ……って思って」
「サッカー好きなんだね」
その時、優しく雨宮が笑ってドキッとした。
「星名、まだ一年なのにレギュラーだろ?朝練も人一倍頑張ってるし、格好良いな……」
尊敬の眼差しで見られて、思わず照れてしまう。
「いや。別に」
俺は何をドキドキしてるんだ。男相手に……
「雨、凄いね……」
雨宮が外を見て呟いた。
「お……お前は帰宅部だよな。趣味とか好きなものないの?」
ゆっくり雨宮が振り向いた。
…………ただ、黙って俺を見つめる。
え……何、この沈黙……
俺、なんか変な事、言った?
「雨宮?」
「…………ほ……星名が好き」
聞こえてきた言葉に思わず固まる。今、なんて言った……?
外から聞こえる激しい雨音。聞こえてきた言葉に動揺して言葉が出ない。
「部活、頑張ってて、優しくて努力家な星名に憧れてた。 気が付いたら、いつも目で追っていて……」
雨宮の頬が赤く染まる。
…………何それ。ちょっと待って。
「ずっと好きだった」
俺を見上げる雨宮の目は少し涙目になっていた。
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