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第3話
「……あ、はっはっ!雨宮。冗談、やめろよ!男同士で『好き』とか意味分かんないんだけど!ビックリしたじゃん。そ……!それとも、罰ゲームか何か?」
顔が熱い。心臓がうるさくて自分でも何を言ってるか、分からない。
言い終えた後、ドキッとした。
雨宮の目には涙が溜まってた。
「…………うん。冗談だよ……ごめ、んね……」
そう言って涙を必死に堪えながら、寂しそうに笑った顔を見て、彼の告白が冗談でも罰ゲームでもない事を知る。
「あ……雨宮。あの、俺……」
ガラッ。扉が開く。悪いタイミングでヤマ先が戻ってきた。
「おー。星名。お待たせ。 全部、終わったか?」
入れ替わるように雨宮は足早にドアの方へ向かった。
「あ、雨宮……」
「変な事言ってごめん。また明日。山下先生、さよなら」
下を向いてそう言うと、雨宮は走って教室を出てってしまった。
「雨宮!」
慌てて追いかけて呼び止めるけど、雨宮は止まらないで行ってしまった。でも、なんて言えばいいんだ……?しかも補習中だし……
混乱して自分に言い訳をして、俺は雨宮を追いかけなかった。
補習が終わった後、下駄箱に雨宮の靴はもうなかった。
控えめで大人しい雨宮。その雨宮が男に告白なんて勇気がいったに違いない。あんな風に一生懸命、伝えてくれたのに。
真剣な告白をあんな風に返すなんて。あの言い方はないだろ……
とりあえず、明日、朝一で謝ろう……
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