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第1話
【拾ってください】
今日は何となくいつもと違う道から帰りたい気分で、少し遠回りして家に向かっていると、見つけてしまった。
よく捨て猫とか捨て犬が河原とかで段ボールに入ってるような、殴り書きみたいな感じの文字で、家電製品でも入っているかのような大きな段ボールに入っていたのは、ケモ耳を生やした小さな男の子だった。
見た感じ幼稚園か小学校低学年くらいの男の子。
ガリガリに痩せ細っていて、ランニング一枚、パンツ一枚だけしか着せられていない。
その恰好じゃ、普通に生活していても寒い。
しかも、いつからそこに置かれていたのか分からないが、梅雨の長雨に打たれてしまってプルプル震えていた。
こんな小さい子を捨てるなんてあり得ない。
飼えないなら飼わない。
捨て獣人なんて、飼い主のモラルが問われる。
というか、俺も見てしまったからには放っておくわけにはいかない。
つい興味本位で覗いてしまったのが運の尽き。
とりあえず、こういう時はどこに連絡すればいいんだ?
役所?保健所?
焦っていると「クシュン」と男の子がくしゃみをした。
連絡するより先に病院に行かないと。
確か家の近所に獣人専門の診療所があったはず。
段ボールの中からずぶ濡れになった男の子を抱え上げると、急いで診療所へ向かった。
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