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第4話

side晴海 「ただいま、って誰もいないか」 (母さんは夜勤って言ってたし) 高校の制服を脱ぎ、部屋着に着替える。 (とりあえず風呂に入って…) まだ17時だが身体が重くて怠い。 浴室の鏡を覗きこむとくたびれた自分の顔がうつっている。 「酷い顔…」 湯船に浸かり身体をよく見ると、太ももの内側に鬱血した痕がいくつかついていた。 「痕つけないでって言ったのに」 もお、と言って目をとじた。 直樹は僕よりも年下だがイケメンでよく気がつく。 ちょっと意地悪なこともするけれど優しい。 あの日、泣いている僕を抱きしめ慰めてくれたのは直樹だ。彼と出会わなければ、今僕はこうしていられただろうか? (もうよそう) さっと身体を洗い風呂をでる。 部屋着を身に付けソファーに身体を預けた。 身体が温まったせいか重さと怠さは気にならなくなり、むしろ疲労感を心地よく感じる。 (…なんか…いい気持ち…) ソファーで寛いでいるうちに、僕は眠ってしまった。

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