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第5話

side晴海 (ん…顔に何か…?) 「晴くん、風邪ひくよ。部屋に行こう」 帰って来たのか…。 「あぁ凪、お帰り。僕、いつの間に寝たんだろう?」 無防備に寝付くなんて…。 凪が長身を屈めて僕の顔をのぞきこむ。 「よく眠ってたみたいだけど、夕食は?」 心配そうにじっと僕の顔を見つめる。 僕よりも色素の薄い瞳と髪はまるで王子様のようだ。 (兄弟なのに僕とはずいぶん違う…。) 「何だか疲れて…食欲ない」 「母さんが用意してくれた食事は明日にしようか」 「うん、そうする」 凪の顔を見ていられない。逃げるようにソファーから立ち上がったせいか、ふらついてしまった。 「晴くん、危ない」 ぎゅっと抱きしめられた。心臓が飛び上がり、顔が赤くなる。 「ありがとう。もう寝るよ」 顔を見られないように凪の胸をそっと押し返し、僕は自室にむかった。

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