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第6話
side凪
自室に向かう兄を見送り、彼が寝込んでいたソファーに腰を下ろして先程の出来事を反芻する。
ふらついた兄の身体を抱き寄せた時のシャンプーの香り。
俺の腕の中にすっぽりと収まった身体は男としては華奢だった。
(絶対変に思われた!)
身体がビクッと震えた。それでも空気を抱きしめて、続きを妄想してしまう。
(…首筋に顔を埋めて深呼吸して…)
(…それからキスをして、そのまま舌で全身を味わって赤い花を咲かせて…)
(…シャツの裾から手を忍ばせて…)
(…胸の先端を指と舌で可愛がって…)
(…それからズボンの中に手を差し込んで…)
(…晴くんの……)
(………不毛だ)
俺は小さな頃から兄のことが好きだった。
自分だけを見てくれる優しい眼差し。
慰め、寄り添い、俺の名を呼ぶ愛しい兄、晴海。
子供の頃は兄として慕っていたが、その気持ちは年月と共に恋心へと成長していった。
触れたい。
手を繋ぎたい。
キスしたい。
肌の温もりを確かめたい…。
…兄弟なのに…。
(男同士だしな…)
悟られないようにしなければ。
こんな邪な想いを兄に知られて、拒絶されることが怖い。
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