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第53話

side晴海 ずっとキスしている。 触れるだけのキスから舌を吸われるキス、絡めるキス。 あたまがぼーっとしてキモチイイしか考えられない。 もっともっとと、ねだるように差し出せばめいっぱい答えてくれる。 「ふっ…んふっ」 声が……。 覆い被さるように包まれて体が温かい。 髪を、頬を、肩を撫でられる。 夢中になって感じていた。 何だろう、遠くで音がする。 すっと離れていく感覚にどこか寂しさを感じた。 (…ん…?) (ベッド…?) ソファでうたた寝してたような気がしたけど…。 (寝ぼけた?) キスの感触が生々しい。 …まさかね…。 side凪 晴くんに深くキスをした。 自分を止められる気がしない。 そっと晴くんを抱え、彼の部屋へ向かった。 ベッドに寝かせて乱れた髪を撫で付けた。 見下ろすと、さながら晴くんは眠り姫のようだ。 黒髪に白い肌が映え、短パンから覗く下肢が艶かしい。 黒髪を弄び、額にキスをした。 瞼と頬にもキスを落とし、再び唇を吸う。 思った通り、止めることが出来ない。 口腔を舐め尽くすようにどんどん深くなる。 晴くんはいつの間にか握っていた俺のシャツから手を離していた。 キスに答えるように舌を絡めあう。 「は、、ん…」 半ば晴くんにのし掛かるようにしていた。 (いとおしい…) やわらかに髪を混ぜ、頬をなぞり、肩を抱く。 (ああ、もうっ) 直に触れたい。 そう思ったとき、ポケットに入れていたスマホが震えた。 一瞬フリーズし、我に返る。 そして静かにベッドを降り、部屋を出た。

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