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第54話
side凪
スマホの画面を見ながら自室に入った。
(ヤバかった)
あそこでスマホの呼び出しが無かったらどこまでいってたか…。
スマホに目を落とすと、拓己からのラインだった。
(…今日来るかって…今から…?)
手短に返事をした。
了解、という短い返信があった。
晴くんのことが多少気がかりだったが、ダイニングテーブルにメモを置いて、俺は家を出た。
コンビニで手土産を買い、マンションの14階へ向かう。
玄関の鍵は開いているので勝手に入った。
拓己は…部屋にはいない。
(リビング?)
テレビを見ている間に寝てしまったのだろう。
ダイニングテーブルに着き、椅子に腰掛けたまますうすうと寝息をたてている拓己を見つけた。
(人を呼び出しておいて…子供か)
「拓己、危ないよ。起きて」
ゆさぶると、んん、と声をだし反応した。
「んー、動けない」
両手をこちらに向ける拓己を、ベッドに連れていった。
「ベッドで寝といた方がいいって」
「んー、でも…」
頭がかくんと倒れる。
「危ないよ」
「…帰っちゃうだろ」
「…しばらく居てやるよ」
「へへ…」
ご機嫌でベッドに入った。
そしてありが…、と最後まで聞こえず寝落ちした。
(一人だと寂しいのかな)
拓己の髪をなでながらそう思った。
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