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第55話
side晴海
「は~る~、おはよう~」
朝から都丸に捕まった。
学校に来るとなぜか高確率で捕獲される。
「おはよう、暑いね」
ぎゅうぎゅう抱き締めてくる都丸をぐいぐい押し返すがびくともしない。
「はあ、、」
「ん?元気ない…」
「あ、うん、ちょっと…」
何でもないよ、と言って笑ったら都丸が一瞬真剣な表情になってから僕を放してくれた。
「独りで抱え込むなよ」
「あ、ありがとう」
珍しく東儀のお迎えなしで離れていった…。
いい奴だな。最初はあんまり感じ良くなかったけど…。
そう、初めは東儀と仲良くなって、それから都丸とも絡むようになったのだ。
(あ、チャイムが。そろそろ講習が始まる)
side凪
予備校になぜか拓己の姿があった。
夏でよかった。
Tシャツ、短パンで済むからこれ以上着崩れる心配がない!
「暇だから付き合ってやるよ」
いきなりどや顔で言ってきた。
「え?」
「行こうぜ」
201室に連れていかれた。
「俺と同じ講義とってるんだ」
「まあね」
……って、講義時間は拓己のスヤスヤタイムだった。
黙って目を閉じていると顔が綺麗なのがよく分かる。
(どんな状態でも綺麗なんだな)
観賞もそこそこに、真面目に講義を受けた。
「腹減った」
と、拓己が言うのでファストフード店で遅めの昼食をとることにした。
拓己はハンバーグとチーズがダブルで入ってるハンバーガーで俺はベーコン、目玉焼きとハンバーグの入ってるハンバーガーにした。
拓己は友達がたくさんいるようなタイプには見えない。
(寂しかったのかな)
勝手な事を考えつつ、通りが見下ろせる二階席でハンバーガーを頬張る。
(ああ、美味い。コーラと合うよな~)
などとのんきに思っていたらやけに目を引く男がいた。
橋本直樹だった。
話したことはもちろんない。
「あれ誰?」
俺の目線を追ったのか、拓己が聞いてきた。
「同じクラスの橋本直樹」
「橋本…直樹…」
「知り合い?」
「いや…知らない…」
そう言ってオレンジジュースをを慌てて吸い上げるが、拓己は俺を見ない。
拓己は彼を知っているみたいだった。
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