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第8話
「おい、テオ。久々のセントラル到着だぜ」
「キャプテンはしゃぎすぎ。まあ、往復4年は長い航海だったけどな」
二回目の長期航海だったが、オメガでもこなせたのは番がいるから他のアルファを誘惑することなく発情期を過ごせるからでもある。
そうでもなければ、薬の効かないオメガなどは航海には連れてはいけない。
怪我の功名かもしれないけどな。
テオは降車タップから荷物を抱えて降りる。
子供を産んですぐに受け直した惑星航海士の資格に合格はしたが、研究員になるまでに3年かかり、初航海できたのは22の時だった。
気がつけば、あの雨の日の出来事から15年過ぎていた。
「テオ、この航海で引退ってホントかよ」
「しばらくは結婚式とか忙しいのよ。お嫁さんだからな……体力戻らなきゃ引退かな」
「番がいるんだっけ。てめえみたいなむっさい三十路オメガを嫁に貰う物好きの顔が見てみてえな」
ゲラゲラと笑いテオの肩を髭面のキャプテンがバンバンと叩く。
探査機の発着口に、高級そうな大型のプライベート機が横付けしてくる。
「あ、物好きがきやがった」
テオは扉が開いて、スーツの青年と一緒に美形の少年が降りてくるのを指さす。
「あれって経済界のプリンスじゃないか」
「そうそう、プリンスと俺のかわいい息子。最近、兄弟が欲しいとか連絡してきてさ……。まあ、軽く作ってくるわ」
「玉の輿かよ。しかも結婚前に子作りとか、順序がちげえだろ」
キャプテンの言葉に、じゃあまたとテオは軽く手を振って別れると、地上で待っていた青年の腕をとった。
「お待たせ。リク」
「5年ぶりです……貴方に会いたくて、僕が貴方を捜索しに行きたかったです」
「わりいな。随分オッサンになったし、後悔してんじゃないのか?ってか、ソラもでかくなったな」
息子を見遣り豪快に笑いながら、テオはリクの肩に手をかけて、曇りがかった空を見上げる。
行きたかった星も充分に探索して、夢も叶えた。後悔も未練もない。
「あの日からずっと、僕は貴方に焦がれているんですよ」
「くすぐってえこと言うなよ。おー、あの雲の間に虹がみえるな」
テオは暗い灰色の雲の間にうっすらとかかる虹を指差した。
「朝から雨が降ってたから。貴方が着いたぐらいにやっとあがりました」
「雨なあ……」
呟いたテオに、リクはギュッとその腕を掴んで機内へと引きずるように引っ張りあげて抱き寄せる。
「もう、どこにも行かせません」
「行く気はないけど、ソラが見てるぞ」
「お気になさらず。あ、僕は弟が欲しいです」
息子が気になってテオが指をさすと、ソラはぺこりと頭をさげ、さっさと中に乗り込んでいく。
「ソラは弟が欲しいって……ねえ、テオさん、頑張りましょうね」
くっついた肌から香る微かなにおいに、テオはくらくらすると呟いて、ここじゃしねえぞと囁いて、シートに座ると体を預けた。
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