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第1話

空は青く、果てしない。 雲もなく、 視界を遮るコンクリートは、無い。 多分、どこまでもそうなのだろうけど。 「どうして、こんな所に…」 ー俺は来ちゃったんだろうな。ー まだ、そんなことを口に出せる程 この世界に慣れていない。 手元に開いた本は、異国の文字で書かれていて まだ全部を読むことは出来ない。 だが、耳から入る言葉だけは、教会の魔術師によって判るようになった。 「あれから、3年か。」 小さな溜息を吐いた時、 「タツミ!」 突然、大声が辺りに響き渡った。 呼ばれた方を振り向けば、 放牧を終え牛を大勢引き連れた男がいた。 日に焼けた小麦の肌と、 シャツから覗く鍛え上げられた厚い胸板が ひどく光って見える。 「なに?アッカー。」 「"なに?"じゃない。そんなところに座ってると、牛が踏み潰すぞ。」 言われて、思い当たる節があった。 突然、見知らぬ場所へ迷い混み 気づけば"コチラ"の世界へ来ていた。 訳もわからず、言葉も通じない場合で ただひとり彷徨っていた。 でこぼこ道を数日間も歩き通し ヘトヘトに疲れ果て、漸く座り込んだのが、 家畜小屋の前の、この芝生だった。 そこへ、アッカーが大勢の牛を引き連れて今のように現れたのだ。 "あの時は、 本当に家畜に踏み潰されるところだった" タツミは薄く笑って見せた。 異世界トリップ後に 家畜の大群に踏み潰されようになる、なんて。 まるで、おとぎ話のような経験だ。 それでも、タツミの目の前には、 この短い間に出逢い、恋をして契りを交わした"夫"がいた。 突然の出逢いだったが、愛している。 今も、家畜の世話をし小屋へ戻しているこの男は 出逢った時も、家畜の世話をしていた。 本当に愛情深く、大切に。 ふと視界に入った逞しい腕の筋肉と、 汗を浮かべた額に ードキッーと、 胸が酷く焼け付くような衝動が走る。 出逢った時からそうだった。 タツミは、この男の全てに弱い。 心がざわつき、騒ぎ立て、身体中の血が沸き立ち、気が付けば涙がポロポロと頬を流れていた。 居ても立っても居られなくなる。 堪らなく気持ちが溢れそうになる。 そんな、激しい感情を味わったのは生まれて始めてだった。 「踏み潰されるのはイヤだな。 だってここは、俺たちの"ハジメテ"の場所だ。」 手元の本を静かに閉じ、 流し目でそっとを視線を這わせる。 唇をそっと開き、目を愛しく細める。 ードキッー 屈強な男が小さく喉を鳴らしていた。 「そうだな。」 「そう。それでさ旦那様よ。 仕事終わったんなら、そろそろ俺にも構って欲しいなぁ。 ...結構、待ってたんだけど。」 言いながら、タツミは自分が着ているギンガムチェックのシャツへ手を伸ばす。 ボタンをひとつ、ふたつ外しながら 照り付ける太陽に、光るような白い肌を見せ付けた。 程よく筋肉のついた、細すぎない身体と 日に焼けにくい白い肌は アッカーを熱く誘惑する。 やがて、ボタンが外れ華奢な鎖骨が露になった。 「昨日は、買い付けに行って、 一昨日は、花屋のウォーカーと楽しく飲んでたんだろ。その前は、どっかの…んむっ!」 言葉を続けようとした所へ、唇を塞がれた。 「んつ、ふ…むぅ。」 腰を強引に抱かれ、アッカーの胸板に圧される。 「愛してるタツミ。」 突然の男の口付けは深く、そのままばくりと食われそうな程にタツミの咥内を味わっている。 グチュグチュ、と唾液の絡む音がする。 舌が絡みとられ、熱く擦れ合わされる。 そうかと思えば、上顎や歯列を丹念になぞられ、上手く飲み込めなかった唾液が、口の端を伝い顎を濡らしていく。 舌が、キツく吸われ続けジン、と痺れを起こしている。 「素直に寂しかったと言え、タツミ。」 「バカヤロウ。ぁ……あ、いいから、早くしろよ。」 散々焦らされ、キスで高まった身体の熱を これ以上押さえつけておくのは不可能だった。 ついでに、急激に熱くなった頰も必死に隠しておきたい。 例え、バレバレだったとしても、だ。 「もう、待たせんなよ。」 「あぁ。」 穿いていた、ズボンや下着が手荒く脱がされる。 相変わらず口付けは、激しい。 頭が蕩けてうまく回らない。 「足を開け、タツミ。」 男である自分が、地べたに座って女のように足を開けと言われた。初めは抵抗し、戸惑ったが今ではもう、抗う意味が全く無かった。 素直にM字に開いて見せた下肢は、 既に従順な反応をみせていた。 「もう、濡れてるぞ。それに、後ろがもの欲しそうだ。」 「み、見るなよ。」 タツミは、思わず"もの欲しそうだ"と言われた場所へ手を伸ばす。 ここは、高台の草原で。まだ日は高く、昼過ぎの屋外で、柔く青々とした芝生の上。 そして、ここらに住んでいるのは、アッカーとタツミと、後ろの家畜たちだけ。 周囲は無人。 タツミたちを隠すものも、見つめるものも、咎めるものも、ここには居ない。 「恥ずかしいか、タツミ。」 自分を押し倒す熱い肌が、ニヤリと唇の端をあげた。熱の籠った瞳が、タツミを捉えた。 「家は、すぐそこじゃん。」 そう、二人の家は家畜小屋の向かいにある。 歩いて1分も無い距離にあるのに。 「ベッドまで、我慢できるのか?」 カァッと、顔が熱くなった。 確かに、抱いてほしかったし、誘ったのもタツミだが、 "何も外で無くて良かったのに。" タツミが頭の中で必死に言い訳を並べる中、 アッカーが羽織っていた上着を脱ぎ始めた。 "あぁー。本当に、外でヤるつもりだ。" 「これを、下に。」 「いや、シャツ汚れるじゃん。」 「いい...やってみろ。」 「へ…あ、?や、ぁ…いきな、りっ、!」 アッカーの言葉の意味が分からず、 考えていたら、 突然、下肢を刺激された。 この3年でタツミの弱いところは、全て知られてしまっている。 例えば、先端をグリっと押し潰すようにされると、堪らなく感じてしまう。 「ぁあ...やだ、いきな、り。」 更に上下に愛され、次第に腰がビクビクと無意識に跳ね上がっていく。 「イクか?」 「ぁ、あ…イクッ。 アッカー、だめだ...上着がっ、汚れるって...!」 「いい。見せてみろタツミ。」 「や、だっよ、あ…そこ押すな。」 必死の抵抗も、口先だけでは、意味は無い。 左手で、タツミ自身を扱きながら 右手で乳首をグリグリと押し潰すように愛撫する。 「ぁあ、イクっ、ルド…ぁ、ンッ!」 びゅっ、びゅ。 タツミの下肢から溢れた愛液は、 一部は腹に、そして、一部はシーツ代わりにした夫ルドルフ・アッカーの上着を汚した。 その白濁の散った様を、 アッカーは食い入るように見詰めていた。 「悪くない。」 「へ、ヤだよっ、ちょっと、ルド!?」 戸惑いと羞恥の隙に、 アッカーの指が優しく後孔へ触れてきた。 疼き、蠢くタツミのナカは アッカーの太い指を1本、容易く飲み込んだ。 「んぅ、うあぁ…ぃいっ。」 男でも感じる場所があるのだと、 アッカーに教えられ、 身体はすっかりその快楽に味をしめていた。 「何時もより、熱いな。 外でヤるのが、気に入ったかタツミ。」 「ちが、う…!ばかぁ、あンッ!」 「口が悪いぞ。」 ばか、と言われたアッカーは、 指をグリグリと押入れながら タツミの身体をうつ伏せに返し、口付けた。 後ろから腰を抱え上げ、無防備に突き出させる。 妻の白く愛らしい尻が丸見えになり、 アッカーの小麦色の指がいやらしく挿入っている様がよく見える。 グルリとナカを撫で付けてやると、 ヒクつき、内奥がよく蠢いた。 「下の口だけは、素直だ。上も、素直だといいんだがな。」 「ふ...っ、くふ。いいから、早くシろよ...。」 うつ伏せにされたタツミは、 小さく夫にお願いする。 ヤると決めたことは必ずヤるのが夫だ。 「当たり前だ、愛しているタツミ。」 そう言った直後、口にくわえていた3本の指が抜かれ、タツミの後孔へと入り込んできた。 「く、んンッ...!」 グリュッ、グリグリッ。 容赦なく、拡げピストンと共に奥へ奥へと進む太い指たち。 「ぁあ、あっ、あンッ。」 早くシろよ、とお願いした妻の頬を、 アッカーは空いている手で撫でた。 彼の妻が、夫の弱点を知っているように 夫も妻の弱点を心得ている。 タツミは、見た目に反して優しい行為より 少し激しいのが好きなのだ。 その証拠に、指を3本いれても感じているし 実際、痛がるどころ上手くくわえ込んでいる。 「タツミ、腰が揺れてるぞ。」 それも、 自分で、イイトコロを刺激してみせる程に。 この健気な妻の姿に 堪らずアッカーは、指を深く抜き差しする。 ぐちゅぐちゅと卑猥な水音がタツミの下肢から溢れ、 タツミの自身へと伝っていく。 ぽたぽた。 タツミの下敷きにした上着に、 はしたない液が落ちる。 その様は、アッカーを視覚的にも刺激した。 「あぁ、ルド…ッ、でちゃうっ、あ、またっ、でるぅ。」 「俺の上着を汚すのか、タツミ。」 「やだ、やっ。さっきから、なんだよ、へんたいプレイやめろ」 「なら、我慢だ。」 「い…っ、!?」 アッカーは、タツミの自身をキュッと握りしめた。 果てようとした高められていた熱が 突如、逃げ場を失い 身体中を駆け巡ってくる。 挙句、後孔の抽送も止められた。 ジンっと、痺れるような感覚で下肢がジクジクと、疼いている。 ヒクつき、熱い指を締め付けては、 更にイケない苦しみがタツミを襲う。 「く...ッ、」 タツミの瞳に涙が浮かぶ。 熱に浮かされ、もうどうにもならない。 イケないのに、どうしてかタツミのナカはアッカーの指を食い締め、更に奥へと誘い込もうとしている。 それで、指先がイイトコロを掠めれば 我慢なんてしていられ無いのだ。 "イキたい" それなのに、自身はキツく握られ まだ、解放されない。 涙は次から次へと、押し寄せて 快感が身体中を支配する。 「イキたいか?」 「イ…っ、キたい。」 「じゃあ、俺の上着を…」 「い、意味不明だッ!」 「嘘だな。」 アッカーは、ズルッとタツミから指を引き抜いた。 「ああーーー。」 突然の喪失感に、抜かれた後孔はぽっかりと口を開け、ヒクつき震える。 とうとう失った熱に、酷く心が掻き乱される。 「な、んでっ、ヤダ...ッ、」 「タツミが俺の服を汚す所が見たい。」 「意味わかんないッ!」 「じゃあ、このままだ。」 「うぅ…っ、」 ただ、久し振りに夫と過ごしたかっただけなのに、と頭の隅でタツミは思う。 「何の、スイッチ入ったんだよ…っ、」 「別に。」 "別に。" この言葉が出ると、 アッカーは絶対に譲らない。 3年の月日は、伊達では無い。 ましてや、夫婦なのだから。 こうなると、 もう、タツミの打つ手は限られていた。 というより、一つしかない。 「ルド…どうすればいいんだよ。」 「ん?」 「ょ、"汚す"って、どうすれば、いいんだって聞いてんだよ!」 うつ伏せて、顔を隠したまま タツミが震える声で言う。 耳まで真っ赤になっている。 羞恥心が沸き立ち、恥じらっているのだ。 そんなタツミに、夫が優しく微笑んでみせた。 「挿れるぞ。」 「え、ちょ…、ぁあッ、ンッ!」 突然、アッカーは妻の尻を掴み、入り口に熱い塊を押し付けた。 それから、ゆっくりと挿入し始めた。 「ひ…っくぅう、ぁ…ぁあ、あぅ...う。」 ゆるゆると、腰を推し進めながら 自身を埋めていくアッカー。 タツミの居た国の平均より、遥かに長く太いモノが後孔へと入っていく。 「あぁ…まだぁッ、?」 「まだ、半分だ。」 ゆっくりと、ナカに沈められるモノを タツミは快感に震えながら、待っていた。 「はや、く…ッ、」 「タツミ?」 「ルド…はやく、こいよ…。」 「駄目だ。お前が、辛いだろうが。」 躊躇うアッカーに、タツミが顔を向ける。 その表情は、淫らな欲に濡れ、美しく卑猥だった。 唇は震え、頬は赤く、目は潤んでいた。 「"もう、待たせんな"って言っただろっ。 はやく、挿れろよ…お前でいっぱいに、ぁあ...ッ、!」 まだ言いかけるタツミに、アッカーが身体で返した。 愛する妻の求めに応えるため、 大きすぎる自身を奥まで突き入れる。 「ひぃ.,.ああ...ッ、」 うつ伏せでは、どうしても深く夫のモノを受け入れてしまう。 だが、タツミの身体はコレを待っていた。 前立腺をぷっくりと腫らし、 身体を熱く震わせながら、 夫のモノから押し潰されるのを今か今かと待っていたのだ。 「あーーー…きてる、ルドのが、奥まで、きてるっ、」 "あぁ、よすぎて、目がチカチカする…っ、" 「タツミ…ッ、届いてるか。」 「ふ、ぅ…ン、と、届いてる…、からぁ、ああ…あふっ、」 アッカーが慣らそうと奥まで繋げた自身を軽く揺さぶる。 擦られるだけでも感じてしまうのに、奥を潰されて身体が悦び震えている。 "やばぃ…きもちぃ…ぃ" 「キスして…ルド…っ、キスしたい。」 「ああ。」 答えたアッカーは、タツミの顔中に口付けを降らせ、唇を激しく貪った。 漸く口付けを解いた頃には、タツミの表情はすっかりと蕩けきっていた。 「動くぞ、タツミ。」 「はやく、ルド…っ、」 あまりの快感にバカになった脳みそが 勝手に"おねだり"を開始した。 ゆるゆると打ち付けられる腰が、 容赦なく押し入ってくる熱の塊が、 堪らなくタツミを快楽へ誘う。 「凄いな…タツミのナカ。うねってる。」 「だってはやく、イキたい。もう、おれはやくイキたい…。」 「あぁ、幾らでもイけ。 でも、俺の上着に出すんだぞタツミ。」 「あ、あっ、まだ言うか…っ、それ…っ、あ!ふぅう!ひぃっ!」 突然アッカーが、タツミのナカを抉るように数度突き上げた。 その衝撃で、うつ伏せになったタツミは、堪らず自身から愛液が出るのを見た。 ピュッ、ピュ、と抉られた度に少しだけ、 熱が溢れていく。 そして吐き出された愛液は、 宣言通りアッカーはのシャツへと染みを作った。 「分かったか、タツミ。」 否が応でも、目にはいる自分の恥ずかしい姿に、 カァッと、顔中の熱が上がる。 涙まで、うっすら浮かんできた。 「わかった…っ、やるからぁ! なんでもするから、はやく……イキたぃっ。 もう、やだっ。意地悪すんなよ…最悪っ、」 「タツミ、タツミ…泣くな。」 「泣いてなぃっ。」 「お前があまりにも可愛いくて、健気で、俺は苛めすぎた。タツミ やっぱり、お前の好きなように抱くよ。」 そう言いながら、後ろからタツミに覆い被さるアッカー。 愛しげに、優しく口付ける。 「愛してる、タツミ。」 その妻は、不覚にも 汗を流し、必死で自分を愛してくる夫の姿に ときめいてしまった。 "ずるい。" そんなことを言われて、嬉しくない訳がない。 そんな言葉、そんなキスにほだされた。 「いぃ…よ。おれも愛してるルド。 だから、はやく気持ちよくなろう。」 結局タツミは、アッカーの言う通りに 彼の上着を、果てた愛液で汚し 羞恥で身体中を震わせたあと、 満足した夫に抱えられ、家へ入っていった。

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