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第2話

●今朝のルドルフ・アッカー● 昨日は買い付けで、忙しかった。 そして一昨日は、腐れ縁の悪友と飲み明かした。 酒の肴は、 お互いの愛おしい妻のことだった。 ウォーカーは、妻の恥ずかしがる表情がそそるのだと熱弁していた。 「へぇ、なにしたんだ。」 「庭のサンルーフ。」 「…変態だな。」 「いやいや、変態は認める、但し妻限定だ。 だが、ヤる価値はあった!」 確か、ウォーカーの家は完全防音だった筈。 「まさかサンルームまで、防音だったのか?」 「勿論だ。ウチの奴、花が趣味でさ。 何時かヤってみたかったんだよなぁ…野外プレイ。」 「とんだ災難だ。」 親友の夜事情なんか、聞きたくないのだが 此ゆえに悪友と言うのだろう。 「本当はお前の家みたいな、 芝生でヤってみたいんだよなぁー。 それにさ、色んな表情が見れて役得だったぞ。」 ウォーカーがニヤ、とだらけた顔をして見せる。 「…そんなにいいのか。」 「おお!勿論だ友よ!何より解放的な気分が味わえるぞ。」 そんなことを、 馬鹿みたいに話したのが一昨日。 昨日は、家の牛たちの買い付けで 待ちまで出かけ、一苦労だった。 そして、今日。 毎朝の放牧が終わって、帰ってくると 俺の可愛い妻が 起きて、芝生に座り待っていた。 だだっ広い芝生の上で、膝を抱え空をみていた。 タツミは、この世界の人間じゃないという。 やはり、寂しい思いをしているのかも知れない。 そして、 その表情もどこか儚く、寂しそうに見えた。 一方的にプロポーズをし、結婚し 自分のものにした自覚がある。 故に、妻を誰よりも幸せにしようと 自分に誓ったのだ。 「何か、ないか。」 寂しい思いをしている妻に、愛を伝えたい。 花や言葉では、もう尽くした。 "いつも、俺ががっついて終わりだからさ。 たまには、アイツのこと酔わせてやろうって。" 一昨日の悪友と交わした、酒を思い出した。 あのあと、真面目な話もしたな。 "俺のとこも、お前のとこも 嫁は知りあい少ないじゃん。 寂しい思いをさせちまってるのかなーと、 ふと思うわけだよ。" "サンルームでヤるのは、面白かったけど ちゃんと向き合って愛してる、って言ったのは久々だった。" 「芝生か。」 愛してるなんて、夫婦なんだから 言わなくても、伝わっていると思うのは傲慢だったな。 「芝生で乱れるタツミか。」 悪くない。 むしろ、軽く勃った。 妻を抱くのに、理由は要らないだろうが 愛は伝えるに越した事はない。 ああ、そうだ。 "「おい!タツミ!」" 始めて抱いたのも、芝生だったな。 "「なぁに、アッカー。」"

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